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どうなる? 地方創生

2016.7.6
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

 この政策は、地方の人口の偏在を是正するために、安定した雇用を創出し、地方への人口の流れをつくり、結婚、出産、子育ての支援を行うもので、国は1兆円規模の予算をつけて、地方の施策を支援している。

 全国の市町村は、これを受けて、人口ビジョン・総合戦略を策定して、若者の雇用、農林水産物の輸出拡大などを中心に取り組んでいる。しかし、その成果が見えてこない。

 正確に表現すると、国は、成功事例らしきものを報告しているが、人口が増えて地域が発展したという実感がない。

 

 このような政策は、以前、竹下内閣の「ふるさと創生政策」やテクノポリス計画、リゾート開発計画などがあった。このような焼き直しみたいな政策を繰り返し行っても、地域格差は解消されなかった。

 

 それは、なぜだろうか。今や地域おこしの教科書的な存在になっている湯布院や黒川温泉と比較すると、その原因が見えてくる。

 原因の第一は、現場に疎い国が、上から目線で号令をかけていることがある。

 国は、地域の資源を掘り起こして、活用せよという。しかし、地方の問題は、何が資源で、それをどうのように生かすかが分からなことである。

 また、ヒナ形を示して指導しているし、予算を付けたうえに、応援の職員まで派遣している。

 国は、「自ら考え、自ら行う」と掛け声をかけているにもかかわらず、このような手取り足取りの進め方をしていることこそが、問題なのである。

 

 原因の第二は、地方は、自力で計画を策定する能力に欠けていることである。このため、全国の自治体のうち、97%が計画づくりそのものをコンサルに丸投げしている。多くの補助金がコンサルに流れ、コンサル・バブルと言われるほどである。

 そのコンサルは、地域の実情に疎いため、これまでの成功事例などを参考にしながら、計画を作り上げている。

 だから、全国どこでも金太郎アメのように同じような内容になってしまう。例えば、特産物といえば、「漬物・お菓子・工芸品」、リゾート開発といえば、「温泉・スキー場・ゴルフ場」と言われている。また、最近では、【B級グルメ・ゆるキャラ・ご当地アイドル】が、「地域おこしの三種の神器」と言われている。

 

 では、どうすればいいのか。その答えは、一言でいえば、「地域の経済構造を改革し、体質を改善しなければならない」ことである。

 そのうち、「地域の経済構造の改革」とは、地域を豊かにするために、地域外との交流を活発に行い、地域の産物やサービスを域外に販売し、利益を確保できるようにすることである。

 これまでの地域経済対策は、地域の資源にこだわり、「地産地消」という言葉に代表されるように地域内循環型で閉鎖的な政策を重視してきた。しかし、地域を豊かにするということは、地域自体のパイを大きくすることが必要であり、そのためには、地域外との交流を活発に行なって利益を獲得しなければならない。つまり、自分都合ではなく、消費者視点で産業を振興することである。

 

 また、「体質の改善」とは、国や県外企業への依存体質を改めることである。

 これまで、地方は、国の補助金や、企業誘致政策に代表されるように、他力に依存してきた。しかし、企業誘致によって、大きな施設が建ち、多くの人が働くことになると、経済効果があるように見えるが、この政策には、「税金安、用地代安、人件費安」の「三安」という隠れたマイナス要因を抱えている。しかも、県外からの企業は、景気動向に左右され、逃げ足も速く、不安定性という制約を抱えている。

 そのためには、「自ら考えることができ、行うことができる」人材を育成することである。

 

 ここで思い出すのが、Jリーグの元コミッショナー川渕氏の話である。氏いわく、かつての日本のサッカーは、ただ、「頑張れ」と言い、根性を要求した。それに対し、欧米では、技術と心構えを鍛えたという。

 

 地域創生政策を成功させるためには、助っ人となる国の職員の派遣ではなく、地方自身が、主体性をもって、実践することができる能力を有する人材を育成することである。

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

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