舛添劇場は、なんだったのか
- 2016.6.24
- 執筆者:犬太郎

舛添知事の辞任で、一件落着したのか、しないのか。モヤモヤとした空気を反映して、喫茶店での常連客の会話は、モーレツだった。
「舛添知事は、やっと辞任したネ」
『時間の問題だったけど、あの粘りは、なんだったのかな』
「本人は辞めたけど、何か、もやっているよネ」
<何が?>
「辞職したけど、疑問を残したままじゃない!」
<どんな?>
「まずね、公用車の私的利用なんかの公私混同でしょ、それに、政治資金で漫画本を買ったり、家族旅行してるヨ」
『それに、疑われていることに対して「信義を尽くして説明する」って約束してたのに、逃げてるヨ』
「大体、自分のやったことを正当化するために、ウソをついてる」
<ウソって、どういうこと?>
『第三者委員会なんて言い出して、時間稼ぎしたでしょ』
<あれ、ウソじゃないよ。本当に弁護士に頼んで、会見までしたじゃない>
「それが、茶番劇だったよね」
『みっともない言い逃れだったよネ』
<エッ!そんなこと言うの>
『あのヤメ検の弁護士たちって、ひどかったじゃない』
「舛添サンから、金もらって責任逃れを助けようとしたのが、はっきりしてたじゃない」
【ほとんど調査もしていなかったし、領収書なんか偽造したンじゃないかと思わせることがあったよネ】
『そう、すでに解散した政治団体宛の領収書があったからネ』
<弁護士が間違えたって言ってたけど>
「宛先を間違えたのは、泊まったホテルじゃなくて、弁護士だったって、変だネ」
【領収書を作ったのは、ホテルじゃなかったンだネ】
「そうだよ。弁護士が作ったンだネ」
【弁護士が政治資金の正しい使い方だったという証拠にしようとしたけど、逆に偽造がはっきりしたネ】
「舛添サンの弁護に失敗したネ」
『あれで、検事だったり、弁護士だったのかな』
「頼りにならない下手な弁護士だネ」
【弁護士より、マスコミの取材の方がしっかりしてたじゃない】
『舛添サンは、不適切な行為を正当化しようとしたのが、無理だったのサ』
「舛添サンが千葉のホテルで会ったという社長だけど、本人はすでに亡くなっていたらしいし…」
『死人に口なしか』
【そのこと、舛添サンは黙ってたよネ】
「そう。『ある人と会って、選挙の話をしたけど、その人の名前は言えない』って言ってた」
【だから、会ってなんかいないのサ】
「本当は、舛添サンの家族旅行を、政治資金で払ったンだネ」
『たいしたきんがくじゃないから、自腹で払っておけばいいのにネ』
【だから、セコイって言われるんだヨ】
「それを言い逃れしようとして、ウソついたってことだネ」
【あの弁護士、依頼人の責任逃れのために、なんでもするっていう感じだネ】
「キチンと裏付けしてないこと、記者に指摘されて、開き直ッてたネ」
『だから、かえって、窮地に追い込まれたネ』
「それにしても、舛添サンはしぶとかったネ。何か、裏でもあったのかな」
【そりゃ、あるでしょう】
<どうして、そんなこと言えるの?>
『状況証拠だけど、総務委員会での自民党の都議の質問の仕方が、なまぬるかった』
<どんな?>
「正月に千葉のホテルで会った社長について質問したとき、『できれば言って欲しい』って聞いていたヨ」
【『誰だったのか』って聞くべきなのに、『できれば言ってほしい』って言ってたネ!】
「案の定、舛添サンは、『政治家としての信義として言えません』て答えた」
【信義って、本当は、都民に対しての信義が優先するのにネ】
「そしたら、都議は、再質問もしないで、次の質問に移ったからネ」
『つまり、うやむやのままにしたっていうこと』
【あのテレビ中継を見ていた人は、みんなびっくりしてたヨ】
「民進党の詰め方も弱かったネ」
『そう、はっきり辞任を迫ったのは、公明党と共産党だった』
【舛添サンって、言い訳居士だね】
<何だい、その居士って?>
【なんでも、自分を正当化する人のこと】
「湯河原への公用車の使用もネ、走る知事室だなんてネ」
【初めっから、『間違ってました』って言えば、謝って済んだのに、言い訳するから、傷が大きくなって、信用を無くしたネ】
『もともと、政治資金や公金を私的に使用したことが問題だネ』
「その金額だって、本人の収入からすれば、小さいんだから、全くセコイよネ」
【そう、海外旅行に5,000万円の税金使うくせに、自分で払わなきゃいけないマンガ本とか、近所の食堂での家族同士の食事代に政治資金を使っているンだからネ】
「それにしても、舛添サンは、無責任だネ」
<何が>
「辞めるまでにいくつか約束したことがあるよネ」
<どんなこと?>
「湯河原の別荘の売却、給料の削減、絵画の寄付なんか」
『それに、一連の疑惑に対して信義を以って説明するって言ったヨ』
「これなんかの実行は、どうするのかな?」
<あれは、続けさせてくれればということじゃない>
「と、いうことは?」
<辞めたんだから、あの約束もご破算ということサ>
「それだけじゃないよ、給料や賞与を満額受け取るのかな?」
『受け取るンじゃないの』
「セコイって言われているからネ」
【それにしても、今回の舛添劇場の責任は、自民党都議にもあるヨ】
「自民党とは、9月まで延命することに了解していたようだネ」
『自民党は、国民感情を読み違えたネ』
「官邸主導とも言われているね」
【ありえるけど、どうかな?】
「でもね、舛添さんが知事選挙に出たときに、安倍さんが並んでいた映像が、繰り返し放送されたことに、安倍さんはいら立っていたってね」
【それにしても、辞めるのを1週間も先に延ばしたうえに、出勤しないってネ】
『やり残してる仕事があるから、辞めるのを先に伸ばしたんじゃないの?』
「それなのに出勤しないって、都民への業務の放棄だヨ」
<どうして?>
【だって、それまでの間は、給料をもらっているンだヨ】
「それに、説明責任を放棄してるヨ」
『疑問については、信義を尽くして、説明するって言ってたよネ』
<やめたから、説明しなくてもいいんじゃない>
【逆だよ。自分が本当に正しかったら、辞めるときにこそ、ちゃんと説明すべきだヨ】
「舛添サンて、飛ぶ鳥、跡を濁してうやむやにするだよネ」
【あいまいにしているのは、自民都議の責任もあるヨ】
「その自民党なんかの都議の連中のリオ旅行に飛び火しているネ」
【それに、舛添サンの中国旅行での多額支払いの問題もネ】
『あれは、水増しして、その分を誰かが、どこかにしまい込んだんじゃないかな?』
「それを監視できなかった都議会とか、都庁の職員の監視体制も問題だネ」
<でもね、もう、マスコミの報道は、参議院選やポスト舛添に移ってるヨ>
「都民は、参議院選や知事選で、はっきりとした意思表示をすべきだろうネ」
【その参議院選だけど、争点は、アベノミクスとか憲法って騒いでるけど、国民からすれば、そんな問題じゃないよネ】
<どういうこと?>
「国民が一番関心を持ってるのは、『信用』だヨ」
【そう、政治家に対する信用だよネ】
「今度の選挙は、政党とか、政策ではなくて、誰が信用できるかで選ばないとネ」
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