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コラム特集記事 稲盛経営

経営講座8.優れた経営者になるための心構え ~六つの精進~

2016.6.23
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

【質問9】 稲盛氏が言う「優れた経営者になるための心構え」の内容」とは、どのようなものですか?あなたは、優れた経営者になるために、どのような心構えを持っていますか?

 

【回答】

  • 稲盛氏は、「壁にぶち当たり、悩みもがき苦しんだとき、原点に立ち返って、何が正しいかを考え、原則に従って行動した」と言います。
  • 稲盛経営を実践するためには、「業務の仕法(スキル)」と合わせて「心構え(ウイル)」を身に付けることが大切です。
  • 経営者に必要な心構えとして強調するのは、稲盛氏の著書でいえば、「アメーバ経営」、「実学」、「京セラ・フィロソフィ」、「働き方」などのほか、人の道の教えに関する「六つの精進」と、稲盛氏の経営理念を反映した「経営の12ヶ条」、「従業員をやる気にさせる七つのカギ」など、多数あります。
  • 稲盛経営でいう「六つの精進」とは、以下のように人としての在り方を六つにまとめたものです。

 

「六つの精進」

 稲盛氏は、「人として、日ごろから心がけて、精進に真摯に取り組めば、魂は練磨され、素晴らしい人生を送ることができる」として、次のように述べています。(表現は、筆者が整理しています。)

 

1.誰にも負けない「努力」をする。

  • より充実した人生を生きていくためには、人一倍の努力を払い、仕事に一生懸命に打ち込まなければなりません。
  • 人は、一心不乱になって働くことによって、心を磨かなければなりません。
  • 真面目に、一生懸命に働くことが、生を受けたものとしての最低の勤めです。

 そのためには、まず、仕事を好きになることが必要です。好きであればこそ、仕事に没頭することができます。

  • 業績を改善しようとするときに、社員に意見を聞いても、いい意見を持っていません。だから、経営者自身が誰にも負けない努力をして、自分で見つけることが必要です。そのためには、社員の何倍も働いて、仕事の仕方を何倍も知っておかなければなりません。
  • そのような、誰にも負けない努力が、素晴らしい結果をもたらします。
  • どのような場合でも、人の何倍も努力することを、常に明るく善意に受け止め、自分の未来に希望を抱いて明るく積極的に行動することが、仕事や人生をよくします。
  • そのような努力をするためには、素直な心を持つことが大事です。素直な心とは、自分自身の至らなさを認め、そこから努力するという謙虚な姿勢を持つことです。
  • 我の強い人、気性の激しい人は、えてして、人の意見を聞かなかったり、聞いても反発することが多いものです。
  • 本当に伸びる人は、素直な心をもって、人の意見を聞き、反省し、自分自身を見つめることができる人です。

 

2.「謙虚」にして、驕らず。

  • 中国の古典に「ただ謙のみ福を受く」という言葉がありますが、「人は謙虚にして初めて幸福を受けることができる」という意味です。
  • 世間では人を押しのけてでもという強引な人が成功すると思われがちですが、決してそうではありません。
  • 成功する人とは、内に燃えるような情熱や闘魂を持っていながら、謙虚で控えめな人です。
  • 企業が成功するためには、全ての社員が集団としてのベクトルを合わせて、心と心を結ばれた良い雰囲気を保ちながら高い能率で職場を運営することが必要です。
  • そのような雰囲気、企業風土を作るためには、経営者が謙虚であることが必要です。
  • 自分の能力やわずかな成功を鼻にかけ、厚顔不遜になると、周囲の人たちの協力が得られないばかりか、自分自身の成長を妨げます。
  • 人は成功し、高い地位につくと、謙虚さを忘れてしまい、傲慢になることがあります。成功を持続するためには、「謙虚にして驕らず」という言葉を心の深くに刻んで生きていくことが必要です。

 

3.「反省」のある毎日を送る

  • 松下幸之助氏は、80歳になっても毎日反省していると言いました。

 

 反省のある毎日を送ることは、人格を磨いていくために大変大事ことです。

  • 稲盛氏は、「人々には、良き心と悪しき心が同居しています。人格を磨くためには、自分を謙虚にして、自らを厳しく反省することが大事です」と言います。

 

  • 反省することによって、人は、自分の悪い心を抑え、人格を向上させ、人間性を高めることができます。
  • 忙しいと、つい自分を見失ってしまうものです。このため、稲盛氏は、毎朝、顔を洗っているときや、夜になって帰宅したとき、そして、一日が終わるときに、その日を振り返えり、「人間として正しい判断や行動をしたか」、「驕り、高ぶりがなかったか」と反省することによって、間違いをなくし、善い心を伸ばしてくれます。

 

4.生きていることに「感謝」をする。

  • 人は、一人では生きていけません。家族、職場の人たち、さらに社会など自分を取り巻く多くの人に支えられて生きています。
  • 「何に感謝すればいいのか」という人がいますが、中村天風は、「感謝するものがないのではない。感謝に値するものに気が付かないでいるのだ」と言いました。
  • 不幸続きであったり、不健康であったりする場合には「感謝をしなさい」と言われても、無理かもしれません。それでも生きていることに対して感謝することが大切です。

 

 グチや不満は人生を暗くします。グチや不満をなくし、志を美しくするためには、感謝することが大切です。いたずらに不平不満を持って生きるのではなく、今あることに素直に感謝すれば、自然と幸せが感じられるようになります。

  • ありがとうという感謝の言葉を周りの人たちに伝えると、人々を幸せな気持ちにしてくれます。

 感謝の心が、平和で幸せな雰囲気を醸し出し、社内に輪を作りますし、感謝すると、自分の顔が明るくなります。

  • 従って、たとえ、人生の試練に成功しても、驕らず、財産や名声におぼれないで、自分を見失わないで感謝し、反省することが大事です。

 

5.「善行、利他行」を積む。

ア)善きことを行う

  • 中国には「積善の家に余慶あり」という言葉があります。善行を積んできた家には、善い報いがあるということです。稲盛氏は、安岡篤馬氏の「運命と立命」という言葉を紹介して、「世の中には、因果応報の法則があり、善い行いを重ねていけば、その人の人生には良い報いがある」と述べています。
  • 善きことを思い、実行すれば、運命を善き方向へ変えることができます。
  • 善きこととは、「人に優しくあれ」、「正直であれ」、「誠実であれ」、「謙虚であれ」ということです。
  • 善い行いには、大善と小善があります。例えば、困った友人に金を貸すのは、本当にその人のためになるかは、疑問であり、その場限りの小善といえます。

 反対に、かわいい子に旅をさせるという言葉がありますが、今は試練となる厳しいことですが、のちに必ず、その人のためになりますので、これは大善と言えます。

  • 人は、自分の幸せを求めて、利己の心を持ちがちですが、この利己の心は、際限なく肥大化するものです。しかし、人間にとって真の豊かさとは、足るを知る心を持つことによって、初めて感じられるものです。
  • 些細なことにも感謝する心を持つためには、「足るを知る」ことによって、魂を浄化することが必要です。

 この社会において、「自分だけが良ければいい」という弱肉強食の考えではなく、共に繁栄するという共存共栄の心が大事です。

  • そうは言っても、企業を経営するためには、利益はいらないというような軟弱な考えを持ったり、きれいごとを言っていれば、企業経営はできません。

 

イ)利他の心を持つ

  • 自分の中には、エゴの自分とピュアな自分がいます。
  • 人間の本質は善です。しかし、人間は弱く、誘惑に負け、欲望にとらわれ、利己的な行動をとってしまいがちです。

 最初に肉体意識が出てきて、利己的になる。これを「利他の心」で抑え込まなければなりません。そのためには、心の修練を積むことが必要です。

  • 「俺が創業し、俺が一生懸命に頑張ったから、この会社がある」と思うのは、エゴです。

 自分の力だけで利益が増えたという勘違いしてはいけません。

  • 会社を私物化するような、利己的な人が会社を経営すれば、利己的な会社になってしまいます。

 そのような経営者は、自分の「心の庭」を手入れしてエゴを取り除かなければ、心は雑草にまみれてしまいます。

  • 人間性で大事なことは、思いやりと利他の心です。
  • 善き思いが幸運を呼ぶものです。
  • 人の心をまとめるためには、金銭による報酬よりも、信頼されることで、喜びを得ることができるようにならなければなりません。

 

6.「感性的な悩み」をしない。

  • 人生ではだれでも失敗をするし、間違いを起こします。

 しかし、そうした過ちを繰り返しながら人は成長していきますから、失敗をしても悔やみ続ける必要はありません。

 起こってしまったことをいつまでも思い悩んでいても、何の役にも立ちません。

  • 人間は、苦労に直面したときに、そこから逃げないで、真正面からそれを受け止めて、成長の糧にしなければいけません。苦労は受け止め方によっては、マイナスにも、プラスにもなります。

 経営者は、強く、優しくなることが必要です。

  • 十分に反省した後は、くよくよせずに、精進に努め、新しい道を歩み始めることが大切です。

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

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