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コラム特集記事 稲盛経営

経営講座3.稲盛経営が生まれるまでの経緯(その二)

2016.4.22
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

 

前回に続き、稲盛経営が形成された経緯を説明します。

 

3.経緯の第三には、胃がんを患い、病床に伏したことがあります。

  • このときを振り返って、「その苦しみのあまり、人につらく当たったこともある」と言っています。
  • 稲盛氏は、病気と闘ううちに、「これまで、進学や就職で辛い思いをし、今また病気と闘っているが、人生を無駄にしたくない。どんな環境であろうと、常に前向きに生きよう」と考えました。「それから、運命が変わった。そして、結果が出てくると、仕事が楽しくなった」と言います。

4.経緯の第四には、心の浄化に努めたいとして、1997年に、僧侶として得度したことがあります。

  • 稲盛氏は、「得度によって、『十重禁戒』を会得し、人生の真の目的に気付いた。これまで理性だけで理解していた事柄についても、もっと本質的に、つまり心の奥底で理解できるようになった」と言っています。
  • このことが「経営者に求められる六つの精進」などの経営者の心構えとして反映されています。

 

【参考】 「十重禁戒」  出所「ウィキぺディア」

  • 不殺生戒 (殺してはいけない)
  • 不倫盗戒 (他人の物を盗んではいけない
  • 不邪淫戒 (淫らであってはいけない
  • 不妄語戒 (嘘偽りを言ってはいけない)
  • 不飲酒戒・古酒戒 (酒を売ってはいけない)
  • 不説過戒・不説四衆過戒 (他人の間違いや欠点をことさらに責め続けてはいけない)
  • 不自讃毀他戒 (自分を誉め、他人を貶してはならない)
  • 不慳貪法財戒 (物心両面にわたり、むさぼったり、物惜しみしてはならない)
  • 不真事志戒(わけもなく怒ったり、憎んではいけない)
  • 不謗三宝戒(仏、法、僧を中傷してはいけない)

 

5.経緯の第五には、経営の神様と言われた松下幸之助氏をはじめ、優れた経営者から学んでいることがあります。

  • 松下氏は、「経営者は、足るを知ることが大事である。この言葉は、限りない欲望を持つのではなく、ほどほどに抑えなければならないという意味である。しかし、この言葉に甘えて、楽をしてはいけない」と言っています。
  • また、稲盛氏は、松下氏が「80歳を過ぎても、私利私欲の塊である。『動機善なりや、私心なかりしか』と言うのは、きれいごとを言っているのではなく、その反省と努力をすべきだということである。私は、毎日寝るときに反省している。経営者は、誰にも負けないと言えるほどの努力をしなければならない」と言った言葉を、自らの教えとしています。
  • 稲盛氏は、ある講演会で、松下氏がダム式経営について話をしたときに、参加者から「どうすればダムを造れるか」との質問があったときのことを本に書いています。
  • 松下氏は、しばらく考えたのち、「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけど、まず、ダムが必要だと思わなければいけませんな」と答えました。これに対し、何か具体的な方法を教えてくれるのではないかと期待していた会場の参加者からは、失笑が漏れました。
  • しかし、稲盛氏は違いました。この言葉から、強烈な印象を受けたと言います。「なるほど、経営者は、何事も強く思わなければかなわないものだ」と会得したのです。
  • また、稲盛氏は、江戸時代の思想家である石田梅岩から「商人道」を学んでいます。石田梅岩は、商行為が賤しいものとされていた時代に、「売利を得るは、商人の道なり。商人の売利は、武士の禄に同じ」と言い、「君子、財を愛す。これを取るに道あり」と説きました。
  • つまり、「企業である限り、利益を追求し、拡大することは当然である。しかし、利益を追求するに当たっては、人間として守るべき道理があるはず。商いは正直であるべき。人を貶めたり、騙したりするなど、あくどいやり方で利益を求めてはいけない」と説きましたが、この考えは、稲盛経営の神髄でもあります。
  • 明治の経済人である渋沢栄一が、「論語で道徳心を培い、算盤で経済性を考える」と言っていることも、稲盛経営の心に通じるものです。
  • また、稲盛氏は、明治の思想家である内村鑑三の著書「代表的日本人」を読んで、江戸時代の素封家である二宮尊徳が「誠意に基づいて鍬一本で寒村を富裕な村に変身させた」ことに感銘を受け、人間としての本質「善の心」で生きることが大切であることを学んでいます。
  • その二宮尊徳は、全国の各地に招かれ、地域社会の再建に尽力しました。このことにより、幕府に招かれて、殿中で話をしたとき、農民であり、何の教育も受けていないのに、尊徳の立ち振る舞いが立派だったといいます。
  • そのため、内村鑑三は、尊徳が生まれ育ちではなく、仕事によって、このような振る舞いを身に着けたことに感銘を受けています。

 

== 今回は、ここまでです。次回は、「稲盛経営が目指すもの」を説明します ==

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

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