鹿児島ウォッチャーは「鹿児島を深堀する」ネットメディアです

鹿児島ウォッチャーは「鹿児島を深堀する」ネットメディアです

  1. HOME
  2. レポート
  3. ドゲンかせんといかん 鹿児島の観光(その1)

時論・創論 地方創生

ドゲンかせんといかん 鹿児島の観光(その1)

2016.3.2
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

外国人観光客の爆買いが話題となっているが、今年もまだ、続きそうだ。というのは、世界の観光客受け入れ数(2014年)をみると、一位のフランスが8,400万人、2位のアメリカが7,500万人。日本は増えたというけれど、まだ1,300万人で、22位と、大きく離されている。

その日本の中でも、多い地域は東京、関西、北海道のゴールデンルートが全国の30%を超えて多い。九州は、福岡のほか、大分、熊本、長崎の北部に集中している。

鹿児島は、大型観光船がこれまで以上に寄港したと言われているが、10万人ほどであり、熊本の三分の一、長崎の半分という状況である。その分、今後の可能性が大きいといえる。

 

北海道、東京、京都の人気の源は、大自然や伝統文化のほか都市の賑わいと買い物の魅力があるからである。悔しいけど、鹿児島には、このような観光客を満足させるほどのものがない。

 

しかし、これからの外国人の観光は、団体旅行から個人旅行へ、大規模から小規模へ、日用品の爆買いから本物の日本文化の体験へと変わる傾向にある。しかも、外国人にも、地方に対する関心が高まってきている。

それを見越して、全国各地で、外国人観光客を誘致して地域創生に生かそうという動きがこれまで以上に活発になっている。

そこで、各地の取組みの例をみると、これからの地方の観光政策の在り方が見えてくる。

 

その一つは、大分の湯平温泉の小さな旅館や宮崎県の土産物店では、そこの女主人が中国語や英語で食事やその土地の観光を説明し、観光客と会話していることが人気となっている。ここで、「女主人」といったのは、決して大きな旅館の気取り顔をした「女将」ではないからだ。

 

これを踏まえると、外国人を受け入れるために必要なのは、もてなしの仕方の工夫というか努力である。もてなしというのは、気持ちだけがあればいいものではない。相手に通じなければいけない。大きなホテルなどでは、外国人客を迎えるために外国人を従業員として雇っているところもあるが、外国人観光客は、日本人と会話することを楽しみにしているという。

外国語ができなくても、十分にもてなしをしているのが、柳川市の例だ。市内を流れる水路巡りの若い娘船頭さんは、柳川音頭を歌いながら、その土地の人こそ知るような観光名所や言い伝えなどを紹介し、気持ちのこもった案内をしている。だから、観光客は、この船に乗ってよかった、この船頭さんに会えてよかったと感動するのである。もてなしは、マナー教室で習うような形だけのものではなく、行き届いた気配りである。

 

二つ目は、外国人観光客は、日本らしい食事を求めている。その意味で、鹿児島は、魚や肉、果物など、食材が豊富であるが、その活かし方に日本食らしい工夫が必要である。外国人にとって、人気の第一は寿司であるが、それにはこだわらなくても、刺身、しゃぶしゃぶでもいい。しかし、この場合、重要な点は、料理や食べ方などを説明する程度の外国語を身につけた方がいい。

なお、その調理法は、外国人に合わせようとして洋風化しない方がいい。むしろ、味付け、盛り方などの日本らしさがある方が楽しめることができる。ただ、客の口に合わなければいけないので、注文を受けるときに、好き嫌いなどを聴いておくことが大事だし、それが会話を進めることになる。

 

三つ目は、日本らしさの体験メニューである。特別なものを用意する必要はない。普段の暮らしの中で、一緒に料理をしたり、農産物の収穫などを体験できるようにする。また、茶道、生け花、書道などの日本文化を直接体験できるメニューも喜ばれるであろう。

 

さらに、四つ目は、鹿児島には、他の地域には負けない日本らしさがある。それは、「サムライの心」である。外国人がもっている日本のイメージは富士山と芸者、それにサムライである。このうち、日本全国でサムライ文化を楽しめる地域はないに等しい。

映画「ラストサムライ」のモデルは、西郷隆盛だったといわれるし、鹿児島には、サムライ文化を象徴する流鏑馬、ハマ投げ、棒踊りなどの祭りやイベントなどを持っている。さらに、目下、アジアの国々では、テレビドラマの「篤姫」が人気だというから、知覧や出水、蒲生などの武家屋敷群が人気になるを予測される。

これまで、鹿児島の観光といえば、三エス、つまり、「桜島、焼酎、西郷さん」と言われ、また、「もはや三エスではない」とも言われてきた。しかし、これらは他の県にはないものである。鹿児島は、これらを活かしきっていない。料理で言えば、肉や野菜などの食材を、調理しないで、そのまま食べさせているようなものである。三エスという観光資源をイベントや、まちづくり、食事などに活かす工夫と努力が求められている。

 

五つ目は、プロモーションの方法にひと工夫が必要である。というのは、近年の外国人は、ブログやクチコミで観光情報を入手している。東京などでは、小さな寿司屋やラーメン店にたくさんの外国人が押し寄せて、行列を作っている店がある。旅行に出発する前に、自国で、ブログから情報を得ているからである。

観光プロモーションといえば、これまでは、行政や観光業界のお偉方がミスなどを連れて外国の旅行社などを訪問してパンフレットを配ったりしているが、今や、そういう形だけの広報では効果がない。

各国には、ブログで旅情報を発信している人がいる。従って、外国において観光をプロモーションする方法としては、そのような人にアプローチすることが効果的である。

 

そして、六つ目は、熊本では、クマモンに見倣う必要がある。クマモンは、アジアをはじめとした各国のイベントなんかに参加して話題を振りまき、愛嬌のある仕草で若い人の人気を集め、観光客の誘致に大いに貢献している。

鹿児島には、キャラクターとして、グリブーがいるが、比較すると、今一つ可愛らしさ、親しみやすさがない。

 

まとめると、鹿児島は、「本物」を観光のコンセプトとしているが、街に貼られているポスターを見ても、インパクトがない。あまりにも、抽象的すぎるし、どこの地域にでも言えることだからである。もっと日本らしく、鹿児島らしい個性的な「売り言葉」が欲しい。

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

記事の評価、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。

会員の方

パスワードをお忘れの方、
再設定を希望する方はこちら

会員以外の方

鹿児島ウォッチャーは無料会員制です。
会員登録をされる方はこちらから

お申込み
『稲盛経営』実践の手引き
稲盛経営
『稲盛経営』実践の手引き
PCサイドバナー1(中)
ページの先頭へ