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時論・創論 自治

漂流する県政

2016.1.22
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

 

 来年は、知事選をはじめ、鹿児島市議選、参院選、鹿児島市長選などがあって、選挙の年になる。

 このうち、特に鹿児島のあり方を決めるのは、知事選と市長選である。

 なぜなら、首長には、特性の縁故者の利益代表ではなく、地域全体のためになる政策が求められるからである。

 知事選では、早速、現職の伊藤さんが出馬を表明し、コメンテイターの三反園さんや何人かの人が出馬の動きを示している。

 

 巷では、今から現職と新人のどちらが有利かという下馬評が飛び交っている。

 これまでの選挙では、出身地や卒業した学校、なんらかの恩恵を受ける会社や団体が支援しているという理由で選んできた。まるで、スポーツ・ゲームの応援合戦のようだ。

 

 しかし、このような選び方で、地域が発展するだろうか?

 なぜならば、このような選び方は、自分たちの地域とか会社の利益になるような代表を選ぶだけ。これでは、エゴ選挙だ。

 鹿児島のためには、地域とか、出身学校、企業というエゴを超えて、県民の代表として、だれがふさわしいかという視点で選ぶことが求められる。

 沖縄県では、基地を巡って、国と対応してでも、沖縄県民のために貢献できる人を県民代表として選んだではないか。

 

 鹿児島にも課題がある。

 人口の高齢化や減少、福祉、医療、教育、産業、そして原発、産廃。あげるときりがないくらいに山積している。

 候補者は、できるだけ多くの支持を得たいから、これらの課題のすべてに対応しようとする。だから、掲げる施策が総花的になる。それが分厚いマニフェストのようになって、誰も信じないし、読みもしない。そして、何事も中途半端になってしまう。

 

 繰り返すが、知事選とか市長選は、個人的な利益代表を選ぶのではない。

 「利己」的な縁故や利益ではなく、鹿児島をどのような地域にするのかという「利全」の視点で選ぶ選挙にしなければならない。選挙権という個人の権利を地域全体のための行使するのである。

 以前、鹿児島には、「南の拠点づくり」という単純、明解な目標があった。今は、それがマニフェスト選挙になって、細かな公約が羅列されて、大きな地域づくりの『目標』が不明確になってしまった。

 だから、鹿児島がどのような地域になるのか、県知事は、どのような地域にしたいのか、分からない。

 船に例えれば、県民は、乗っている船、乗らされている船の上で、毎日の生活に追われている。頑張っていれば、辛抱していれば、きっと幸せな港に連れて行ってくれるだろうと期待している。また、船員たちは、原発とか産廃、アリーナという岩礁を避けることに精いっぱいの舵取りをしている。

 県民は、どこに行くのかもわからないまま、鹿児島丸は、あてどもなく、さまよっている。県政が漂流している。

 今度の選挙では、候補者が目指そうとしている「未来」を見せてくれるような「ビジョン」を示してもらいたい。それによって、選択しようではないか。

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

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