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コラム イヌの小耳

どうなる景気

2015.11.2
執筆者:犬太郎

「こんにちは!皆さん、元気ですか?」と大きな声で店に入ってきた人がいる。彼は、天文館の洋装店の三代目で、通り会の役員もしている。彼を交えて、常連客が会話したときの様子を報告する。

 

「やあ。珍しく景気よさそうな挨拶だね」

【まあ、ボチボチですよ】

「お決まりの返事だね」

『景気といえば、とくとく商品券は、どうだった?』

【う~ん、どうも】

「なんか、歯切れが悪いね」

「商品券は、これまでも何回かあったよネ」

『そう。景気対策といえば、公明党が、いつもこれを提案する』

「商品券は、どこの町も完売したらしいじゃない?」

『だったら、消費が増えて、景気対策に効果があったということかな?』

【でも、景気浮揚の契機にはなっていなヨ】

「どうして?」

『効果があったンじゃないかな』

 

<どうも、商品券の利用には、二つのタイプがあるみたい>

「どういうこと?」

『一つのタイプは、プレミア分を使って普段買わないものを買ってみようという人がいるヨ』

『こういう人は、消費が増えるということだよネ』

【そう。例えば、プレミア15%の場合、普段は、1万円の買い物をしていたのが、1万5千円分の買い物をするんだ】

『1,500円分、多くの買い物をするということだネ』

「そうなンだ。それが政府の思惑だろうけどネ」

【でも、全体の消費額は増えていないヨ】

「どうしてかナ?」

 

<もう一つのタイプがあるんだよネ>

『そう。普段と同じ量とか価格の買い物に使っているンだ』

「ということは、買い物する額は、変わらないということ?」

『そうだよ。例えば、プレミア15%とすると、1万円の買い物が8,500円でできるということさ』

「それじゃ、買う量は増えないで、プレミアが付いた分だけ、現金の支出が少なくて済むンだネ」

<商品券を買ったけど、購買額は増えなかったということだネ>

「今は、支出を抑えようとしているから、こういう人が多かったということかナ?」

 

『実は、この制度には、消費者にも、商店にも、使いにくいカベがあるンだ』

【商店はネ、プレミア券を受け取ると、そのあと、換金する手数がかかるンだ】

「それに消費者としては、市町村の境界を越えては、使えないンでしょ?」

『そのうえに、買いたいものを買うためには、その前に、商品券をわざわざ買いに行かなければいけないヨ』

<手間が、いくつも増えるんだね>

「まだあるよ。一人2万円までという制約があったンでしょ」

【いや、実際は、それ以上の金額を買える地域もあるヨ】

「もっとカベがある。運転免許証のような身分を証明する物も必要でだっていうネ」

【実際は、必要ないンだ】

「そういえば、僕も買ったときに、住所とか、家族を書けと言われたけど、適当に書けばいいと言われたヨ」

『使いやすさを重点にしたンだろうネ』

「でも、結局は、商品券は売れたけど、景気浮揚効果はなかったようだネ』

 

<商品券は、安倍さんの『三本の矢』のうち、デフレ脱却のための最も大事な消費拡大という効果を期待したンだろうけど、尻すぼみしたみたいだネ」

【じゃあ、「三本の矢」は、マトに当たらなかったのかな?】

『もともと、本物の経済対策じゃないよね』

「一時的でも、消費の刺激になればいいンだけど」

『それもどうかナ?』

 

【そういえば、安倍さんは、三本の矢をあきらめたのかナ?】

『どうして?』

【今度は、『新三本の矢』を打ち出しているヨ】

<何だい、その『新三本の矢』って>

「その前に、これまでの『三本の矢』ってなんだったっけ?」

【うん。一つ目の矢は、大胆な金融緩和、第二の矢は動的な財政政策、そして三本目の矢が民間投資を喚起する成長戦略だった】

『そして、2年間に2%の経済成長を達成すると言ってたンだけど』

「できなかったね」

<その反省がなくて、もう新しい矢を放つというの?>

「安倍さんは、反省が嫌いだネ」

『いや、苦手なンだ。だから、反省から逃げている』

 

<それで。新しいのは、どんなの?>

『どうも、一つ目の矢は【強い経済を作る】こと。二つ目は【子育て支援】、そして、三つ目の矢が【社会保障の充実】だってサ」

「一本目の強い経済って?」

『経済を活性化して、国民所得600兆円を目標にするって』

「今は、500兆円にも届いていないンでしょ。目標は、ちょっと高め過ぎない?」

<二つ目の子育て支援ってなあに>

【支援を充実させて、出生率を1.8にすることを目標にしている】

<今は、いくつだっけ?>

『1.4だよ』

「それを1.8にするって、大変だよネ】

【少子化対策は、これまで長年かかっていたけど、一向に改善されていないからね。それをどこまで増やすことができるのかな?」

「それにしても、なんで、そんな無理筋の目標を作ったのかな?」

『それはね、安倍さんが50年後も、日本の人口1億人を維持したいからなんだ』

「それを逆算すると、国民所得を600兆円にするとか、出生率を1.8にする必要があるのサ」

「なんてこった!初めに、高い目標ありきということか」

<三つ目が、社会保障だというネ>

 

「なんか、どれもぴんとこないね」

『どこが?』

<国民所得を600兆円にするっていうけど、その根拠ってあるの?>

『何だい、根拠って』

<今が500兆円だから、何年間なんだかわからないけど、どうやって100兆円も増やすのかな>

【どれだけ、成長することになるのかな?】

『年率にすると4.2%の成長だって』

「どうやったら、そんなに成長させることができるのかな?ウサン臭い内容だね」

『なんで』

「だって、今の経済成長率は1%にも届かないのに、4.2%の成長だなんて、無理じゃないの」

「それと、出生率をあげるために、児童手当を見直すとか言うヨ」

<それだけで出生率が上がるのかな?>

「三つ目の社会保障の充実って、なあに?」

『老人ホームを整備して、介護離職をゼロにするって』

 

『安倍さんは、「新三本の矢」によって、【一億層活躍社会】を作るっていうけど、全国民が活躍しなければならないのかって、疑問が出ているよ」

<女性の活躍って言っていたけど、何もしていなかったよネ>

「今度の内閣改造でも、女性閣僚は減ったし」

 

<大体、いつまでの目標なの?>

【それがね、マスコミなんかによると、50年後とか、平成33年までとか言うけど、はっきりしないんだ】

「それにしても、安倍さんの政策は、掛け声だけだね」

<中身がない>

「大体、安倍さんの言う三本の矢っていうのは、スローガンだったリ、目標だよね。つまり、マトだよ。矢じゃないよ」

【安倍さんは、『一億層活躍社会』を作るって目標を掲げているけど、600兆円とか、1.8という目標、どうやって作ったのかな?】

『今度の目標づくりの方法は、【バック・キャステイング法】というやつで作ったのさ』

「何だい、そのバックって?」

『先に将来のあるべき姿を定めて、そのあとに、あるべき姿を実現するために、各年の目標を定める方法だよ』

【わかったようで、分かりにくいね】

『うん。もう一つ、逆の方法があるヨ。【フォア・キャスティング法】という方法だ』

「そのやり方は?」

『現状から推計して行って、計画年の目標を定める方法だ』

「それが、一般的だよね」

『そうだけど、安倍さんは、あるべき姿を先に設定することが好きらしいヨ』

【その方が、国民に夢を持たせることができるからネ】

「そう。だけど、現実を無視するから、無理筋の計画ができてしまうんだ」

<それで、目標を達成できないと、なぜできないのか、しっかりしろと役人や企業を鞭打つことになる>

 

「だけど、それを実現するための政策が明確じゃないンだ」

【安倍さんの国政運営の大きな欠点が見えてきたようだね】

『どういうこと?』

【安倍さんとその取り巻きは、政策力がないということサ。だから、官邸主導で、学識経験者や評論家なんかを集めて、アイデアを言わせているだけじゃないのかナ】

『その中に、官僚の実務者が入っていないってこと?』

「そう。だから、マトだけ作っても、矢を作れないンだ』

『だから、成果がないンだ』

「目標を達成するための具体的な政策は、行政や企業が作れというンじゃないのかナ」

【それじゃ、無理を押し付けられた官僚や企業経営者はしんどいよネ】

「目標なんか、他人から押し付けられたって、できないものは、できないヨ」

 

<じゃあ、どうすればいいのかな?>

「日本の隅っこにいて、そんな大それたこと、分かるわけないだろう!」

『そうだね。我々は、見えないし、聞こえないし』

【でもね、円安効果で輸出企業は儲かったでしょう。そして、商品券の発行とか公共事業で、財政出動もしたでしょう。それに外国人の観光客がたくさん増えているし、中国人の爆買で、利益を増やしている企業が多いはずだヨ】

『中国人観光客の爆買だけで1兆円を超えるからネ』

【そういうお金がどこかに溜っているンだネ】

【景気対策としては、企業が儲けた利益を従業員の賃金とか次の投資に回わさないといけないンだ】

【そうすれば、デフレ脱却の歯車が回転するンだけど】

「でも、企業は、利益をせっせと、内部留保しているンダ」

<何、その内部留保って?>

【簡単に言えば、社内の金庫に貯めているンだ】

『その額は、過去最高だって』

「さっき言ったように、本当は、企業の利益は、従業員の賃金とか投資に使うべきだけど、それをしてないンだ」

 

『一部の企業は、ベースアップしているけど、投資には回していないようだ』

<どうしてかナ?>

「今の日本や世界には、経済も政治も、不安と不信感があるからネ」

【だから安倍さんは、もうかっている企業に対して、賃金をあげたり、投資するよう呼びかけいるンだよネ】

<それじゃ、ダメだヨ!>

「どうして?」

「企業が投資に向かわないのは、安倍さんの政治に不安があるからだよ」

『安倍さん自身が、壁になっているということ?』

【そういうこと。安倍さんは、国民や企業が安心できるような政治をしないとね】

 

<経済を成長させるためには、どうすればいいのかな?>

【そんな大きなこと、ここで聞くの?答えが出るわけがないじゃない】

<正解は、期待してないよ。ただ、街のご隠居に、聞いてみきただけサ>

 

「そういえば、過去のこと考えれば、成長するときには、何か新しいものがあったよネ?」

【戦争直後の経済の高度成長期に、景気を引っ張ったのは、テレビ、洗濯機、冷蔵庫だった】

「そう。それを『三種の神器』と言ったよネ」

【新生活の必要品だったから、多くの家庭で買ったンだ。それで、早く普及したンだよね】

『生活に必要だったし、便利になったからネ』

 

【その次に景気をリードしたのが、車、クーラー、カラー・テレビといういわゆる『三C』だった】

「それが今はない」

『今もあるよ。例えば、携帯、パソコン、ロボットなんかは、どうかな』

「電気自動車とか自動運転する次世代の自動車もあるンじゃない?」

<それが、今一つ景気浮揚の起爆剤になっていないよネ>

『やっぱり、多くの国民が必要だとか、生活を変えるようなものじゃないとネ』

「イノベイションということだね」

<どうしたら、そのイノベイションが出来るんだろうか?>

【経済よりも、日本と世界の安定が先なのかもしれない】

 

ここまで来て、みんなから後の言葉が出なくなってしまった。

犬太郎

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