伊藤県政の評価
- 2015.10.9
- 執筆者:犬太郎

伊藤知事の任期が、残すところ一年を切った。ここにきて、伊藤知事は、物議を醸す発言が目立つので、この喫茶店でも、話題になっている。ある日の会話を紹介しよう。
「伊藤知事が、『サイン・コサインを女子に教える必要はない』というような発言をしたね」
【何か問題があるの?】
「サイン・コサインは、僕もあまり使っていないけど、女子に限って発言したことが問題だね」
『そうだね。確かに、普段の暮らしの中では、あまり使われないけど、教育としては必要だよ』
【役立たないけど教育科目になっているのは、他にあるよ】
「歴史だって、地理だってね」
<男子の家庭科もかい?>
「う~ん。そういう考え方は、受け取り方によっては、問題になるかも」
『百人一首なんか、カルタ取りすらしないよ』
【役に立たないのなら、教えても無駄じゃない。それより、役立つことを教えるべきだよ】
『いや、今度の伊藤さんの発言の問題は、その議論と、ちょっと違うよ』
「そうだよ。女性に限って不必要だって言ったことが問題だよ」
『そこが、男女差別になるよね』
「この発言は、その場だけの発言だけじゃないね」
『そう。伊藤さんの意識とか、考え方が古いことの証じゃないかと取られているよ』
<えッ!どうして、そんなことが言えるの?>
「伊藤さんは、任期があと一年だから、そろそろ、その功罪が評価され始めたよ」
『もう、十年超えたからね。実績が問われるよね』
【功績はいくつかあるんじゃないかな】
<例えば?>
【財政だけど、借金を減らしたと言われている】
「でも、鹿児島の経済構造が発展して、収入が増えたわけじゃないヨ」
『単純に、支出を減らして、帳尻を合わせただけだっていうよ』
【伊藤さんは、政策通だっていう評判が高いよ】
「えッ!政策通なら、上海の航空路線を維持するために、県の職員を税金丸抱えで乗せようなんて政策はしないね」
『確かに、上海のことは、ひどかったね』
【どうして?】
「政策として、公平性とか妥当性に欠ける政策だよ」
『それに、効果もはっきりしないし』
「それに一億円という額だよ」
『すごい金額だね。普通なら、相当厳しくチェックされるよ』
「担当者レベルなら、通らないね」
『と、言うことは知事の発想なのかな?』
「どうも、そうらしい」
『誰も止められなかったのかな?』
「伊藤さんは、強いからね」
【強いって、どういうこと?】
「県の職員に聞くと、知事に反対する意見を言えないンだって』
<うそッ!担当者が意見を言えないなんて。独裁者ということ?>
「ともかく、言えないらしい」
『僕も、聞いたよ』
「その象徴がサイン・コサイン発言なのさ」
【えッ!そんな決めつけ方するの?】
「イヤイヤ それだけじゃないよ。原発や産廃の問題もあるじゃない」
【それがどうしたの】
「難しい問題になると、国の意見を聞くとか言って逃げている」
【逃げているンじゃなくて、実際、国の問題じゃないかな】
「県民は、鹿児島県としてどうするかを聞きたいし、県の意見として国に対して言わなくちゃいけないよ」
『そう。だから、知事自身の考えを聞きたいンだけど、言わない』
「それは、県民からすれば、考えていないとか、国任せにしていると見えるんだよね」
【でもサ、原発や産廃への対応は、知事だけの問題かな?】
『それは、知事の問題だよ』
「知事が県民を代表して、国に意見を言ってもらわないとね」
『知事の意識が県民からズレているし、それを誰も注意できないから、県民は心配なのさ』
「最近だって、政府が、中央の省庁や研究施設を地方に分散するために、地方に受け入れ希望を聞いているけど、全国の中で、鹿児島県だけ、誘致したい施設の希望を提出していないそうだ」
【それが問題なの?誘致しなくてもいいンじゃない】
「問題あるとかないとかじゃなくて、国の機関が自分の地域にあれば、それだけ、緊密に連携できるし、行政機能を充実することができる」
『だから、他の道府県では、官公庁や中小企業庁とか産業関係の行政機関なんかの誘致を希望してるンだ』
「鹿児島だって、水産業や林業なんかも盛んだから、そういう国の機関がほしいね」
『宇宙関係機関や気象庁なんかも、鹿児島にあるといいんじゃないかな』
「何で鹿児島は、手を上げないのかな?」
『伊藤さんは、地方同士の誘致合戦に嫌気がさしているんじゃないかな』
「誘致したところで、どうせ来ないんじゃないかとみているのかもしれないね」
『せっかく誘致に人も時間も、お金もかけても、来ないンだったら無駄になるよね』
「くたびれもうけの、骨折り損だからね」
【これまでの誘致競争が、そうだったよね】
『それを伊藤さんは、誘致される側にから見ていたんじゃないかな』
「でも、それでいいのかな」
<ところで、伊藤さんは、どういう鹿児島にしようとしているのかな>
「前の県政では、南の拠点作りとかいう目標があって、みんなが合言葉にしていたね」
『伊藤さんが目指しているビジョンが見えないね』
「見えないといえば、体育館は、どうしようとしているのかな?」
『迷走しているみたい』
「8月下旬に、白紙撤回するって言ったよ」
『白紙って、どこまでが白紙なのかな?』
<どこまでって>
「建設するか、しないのか。どこに、どのような施設を作るのか。いろいろあるよ」
『突然、白紙になって、県内の自治体から、戸惑いの声が上がっているようだね』
「6市地域が誘致を希望していたからね」
<ところで、体育施設を作ってどんな効果があるのかな>
【効果って?】
「だって、ただ、スポーツやイベントをするだけの施設ができたからって、一時的に人が集まるだけの施設じゃない」
【人が集まるから、賑わいになるし、経済効果も期待できるよ】
「県外から人が集まるなら、宿泊施設とか、お土産店には売り上げ増の効果があるかもしれない」
『交通機関にも効果があるよ』
「それなら、単なるスポーツ施設じゃなくて、県内外から、多くの人が集まってくるようなイベントをやるような施設じゃなければいけないね」
『そこなンだ。アリーナのような施設を作るときは、先にビジョンが必要なンだ』
「アリーナがポツンとあっていたって、意味がないもンネ」
『みやまコンセールがそうだよね』
「指宿の高齢者施設もだヨ」
<なンて言ったっけ?>
「菜の花館」
<立地する周辺の環境とか、関連施設の状況も考えないとね>
「鹿児島市は、ドルフィンポートのところに立地されると、市電の引き込みと重なるので、反対している」
『そういうこともあるけど、鹿児島市ばかりでいいのかな?』
「何でも鹿児島市にばかり作ると、一極集中になるね」
【でも、施設の立地となると、交通や周辺の充実が必要だよ。鹿児島市に集中させても、仕方ないんじゃないの】
『そうなんだけど、それでは、他の地域の発展が期待できなくなるよ』
「地の利というのがあるヨ」
『要望が強いとか、土地が安いとかで、地の利が悪いところに立地すると、後で苦労するよ』
「指宿の施設は、ただで指宿市にやったようにね」
『無償ということ?それじゃ、多額の税金が無駄になったということだね』
<ところでさ、伊藤さんについていえば、多選と言う問題があるね>
【多選というけど、いけないのかな?】
「多選は問題だよ。政策のマンネリ化、権限の集中、人事の偏りなンかがある」
『それに、伊藤さんは、最初に三選までといっていたよね』
【でも、途中で、四選への含みを持たせる言い方に変えたよ】
「伊藤さんは、東京の国関係の団体に行くという噂があった」
『いや、参議院選挙に出るとも言われているよ』
【県民としては、伊藤さんがどうこうというのじゃなくて、どういう県になって、そのために、どのような知事が欲しいかと言うことだよ】
「そのうえで、県民が欲しい知事候補を探すということになるのかな」
『よく言うよね』
「なんて?」
「『なりたい人より、なってほしい人』って」
この辺まで会話が進んだところで、みんなは、沈黙してしまった。
皆さん!この鹿児島、どうなるンでしょうか?
記事の評価、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。