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時論・創論特集記事 地方創生

地方版総合戦略① ~子育てに対する経済的支援の強化を~

2015.2.2
執筆者:編集スタッフ

 政府が地方創生の方針や人口減対策などを示した「長期ビジョン」と「総合戦略」を閣議決定したことを受けて、鹿児島県内の各自治体も市町村版「総合戦略」の策定に向けて動き始めた。総合戦略の庁内策定体制を整えたり、「地方創生人材支援制度」に県内3市3町が手を挙げたりするなど、徐々に動きが活発化してきた。

 国の総合戦略は2015年度から5カ年計画で、地方で30万人分の若者の雇用を創出することや、東京圏からの転出者を4万人増やすことなどの数値目標を掲げた。実現するために「地方が自ら考え、責任をもって取り組むことが何よりも重要」と自治体の役割を明記した。地域の実情に合った取り組みが欠かせないという考え方である。地方は、その創意工夫によって新し

いアイデアを出す必要があるのだが、国がつくった制度をそのまま運用したり、国の補助事業を引き出したり、国が示した政策メニューから“選択する”だけでよかった地方が、自らの判断で政策を立案したり、制度を設計することができるのか、どれだけ実効性のある政策を打ち出せるか、非常に興味深い。2015年度は、地方が試される1年といっても過言ではない。

 このような認識のもと、言論鹿児島においても、地方版総合戦略の策定に関連するいくつかのアイデアを紹介することとした。

 まず第一回目として、少子化対策のひとつである子育て支援について考察した。

 

 

■保育所整備では少子化問題は解決しない

 総選挙直前に、麻生副総理の「子どもを産まないのが悪い」発言が物議をかもした。これが副総理の本音であり、多くの自民党議員の本音なのだろう。このような人々が中枢にいる政権が続くのだから、わが国が抱える少子化問題が解決できるとは到底思えない。

 とはいえ、わが国の少子化は深刻である。少子化の背景には非婚化や晩婚化があり、その大きな要因として子育てにかかる経済的な問題がある。若者層の所得水準が大幅に下がり、結婚ができない若者が増えている。また、世帯収入と世帯の子どもの数には相関性があり、世帯所得が子どもを産むことに影響を与えている。

 一方、政府が子育て支援として最も力を入れているのは保育環境の整備である。保育所等を整備し待機児童をなくすことが必要なのは言うまでもない。しかし、保育問題を解決すれば少子化問題が解決されるとは言えない。あくまでも現在子どもを育てている家庭の問題の解消にはつながるが、少子化問題の根本的解決が図れる訳ではない。

 

■児童手当のバウチャー化を

 民主党政権は期待外れに終わったが、そうした中で、児童手当の導入は子育てにおける経済的支援に踏み込んだ取組として、民主党政権で評価できる数少ない取組である。ただ、財源確保ができず計画通りの金額支給ができなかったこと、また現金でしか支給できないという制約もあり、自治体が自らのアイデアで児童手当という制度を効果的に活用する場面にまで至らなかったのは残念であった。結果、子どものために本当に遣われているのかというといった問題を残したまま制度だけが残る結果となっている。

 では、児童手当が本当に子どものために遣われるにはどうしたら良いのか。真っ先に思い当たるのが「バウチャー制度」である。バウチャーとは、「保育サービス」というように使い道が限定され個人が受け取る補助金で、事前にクーポン券が支給されそれを使ってサービスを利用するという形をとる。市町村で支給金額に上乗せし、バウチャーを使える施設や店舗等を指定するようにすれば、児童手当が子どもにきちんと遣われるだけでなく、域内での消費拡大にもつながり、民主党政権が言っていた福祉政策が経済活性化につながるという主張を実現できるのではないか。

 

■子育てファンドの創設と活用

 もう一つ検討に値するのが「チャイルド・トラスト・ファンド」というものである。

 これはイギリスが2005年4月から導入した制度で、子供が将来、大学進学や社会人となったときに、ある一定の貯蓄を持ち、次の人生のスタートに困らないよう経済的な基盤を築かせること、そして子育て支援の観点からは、将来の経済的負担への不安を取り除くことを目的としたものである。

 その内容は、原則として、制度の対象となる子供の親に国から250ポンド(約35,000円程度)が補助金としてバウチャーの形で支給される。親は子供の誕生時から1年以内に国から送付されたバウチャーを金融機関に提示して、子供名義の口座を開設する。その後は、7歳の誕生日に250ポンドが支給される。その他、親や親族等が子供のために年間1,200ポンド(約160,000円程度)まで、その口座に現金を拠出することもできる。口座に入金されたお金は、株式や債券、投資信託、預金、生命保険等に投資し、これにより得られた配当や利子、キャピタルゲインは非課税となる。しかし、子供が18歳になるまで引き出すことができない。

 実は、財政的な理由でこの制度は廃止され、現在は「ジュニアISA」という制度に代わっている。税制優遇が付いた子どものための個人貯蓄口座という部分はそのまま残し、国からのバウチャーの部分がなくなった制度となっている。

 このように、実際の導入には財政面等の検証が必要となるが、少子化対策の非常に重要な要素である経済的な負担への不安解消に向けた取組であり、子育て支援に力を入れていこうという自治体ならば導入を検討するに値するのではないか。

 

■本腰を入れた経済的支援を

 少子化の大きな要因が経済的な問題であるのは間違いない。本県でも徐々にだが、子どもの医療費の無償化など、経済的な支援に取り組む自治体が増えている。しかし、まだ十分と言えるレベルではない。行政は経済的な支援には手を出したがらない傾向が強い。しかし、将来のために本当に子ども増やすことが大切だと思うのであれば、そろそろ子育てに対する経済的支援に本格的に取り組んでいくことが必要なのではないだろうか。

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