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選挙への関心を高めるためのマスコミの役割

2014.12.24
執筆者:上原 智之(ウエハラトモユキ)

 

■アベノミクスは本当に選挙の争点だったのか

 今回の総選挙は、52.66%という戦後最低の投票率を記録した。専門家の分析によると、低投票率の要因は、争点がはっきりしないことによる「関心の低さ」と、与党圧勝という結果が見えているという「あきらめ感」の両面があるとしている。

 こうした識者の意見をしたり顔で報じているマスコミだが、低投票率を生み出している元凶は、そもそも争点を作り出せない「マスコミの不甲斐なさ」によるところが大きいのではないか。政治家に一番近いところにいて、政治を良く知っているはずのマスコミが争点を提示できないのは、マスコミとしての役割を放棄しているとしか思えないのである。

 今回の総選挙では、自民党はアベノミクスを継続するかどうかが一番の争点だと言っていた。では、なぜ鹿児島県で自民党が勝てたのか到底理解できない。鹿児島県ではまったくと言っていいほどアベノミクスの効果はないはずである。アベノミクスは鹿児島県経済にマイナスの影響を与えたほうが大きく、本当にアベノミクスが選挙の争点だったならば、少なくとも鹿児島県で自民党が圧勝するという結果はなかったはずである。

 地元マスコミが鹿児島県へのアベノミクスの影響をきちんと検証することができていれば、鹿児島県民は自公政権にはノーといったはずである。そうならなかったのは、鹿児島県におけるアベノミクスの功罪をきちんと検証できていない地元マスコミに問題があるのではないだろうか。

 

■「争点が明確でない」はマスコミの言い訳

 今回の総選挙では、少なくとも鹿児島県においては、原発の再稼働やTPPへの参加の是非など、鹿児島県民にとってアベノミクス以外にも争点となっておかしくない課題がいくつもあった。

 実際に沖縄県では小選挙区で自民党は全滅している。アベノミクスが争点ではなく、基地問題が最大の争点であったたことは明らかである。基地問題が争点になったのは、県知事選からの流れによるところが大きいのであろうが、地元マスコミが基地問題を沖縄県の最重要課題と位置づけ常に議論の遡上にのせてきた結果である。これこそが、正しい民主主義の姿、正しい地元マスコミの姿ではないか。

 国政選挙だから、国政に関わる課題を争点にするのは当然である。しかし、いくつもの国政の課題がある中で、それぞれの地域が置かれた環境は違うのであり、沖縄県で基地問題が最大の争点になったように、鹿児島県でも原発再稼働やTPPなど、鹿児島県民にとって重要な課題を本当の争点するのが地元マスコミの役割ではないのだろうか。争点が明確でなかったというのは、地元マスコミが自らの役割を放棄しているのに対する言い訳にしか聞こえないのである。

 

■地方選挙には討論の場が不可欠

 国政選挙以上に深刻なのが地方選挙である。以前は、住民に身近な代表者を選ぶということもあり、国政選挙に比べて投票率も高かったのだが、最近では国政選挙並みの投票率に下がってきている。

 33.47%、25.47%。前回および前々回の鹿児島市長選の投票率である。これで市の代表者を選んだと言って本当に良いのだろうか。マスコミは投票率が低いのは問題だと言い、テレビや新聞で「選挙に行きましょう。」と呼びかけることはするが、それで投票に行こうかと思う人がどのくらいいると思っているのだろうか。

 人々が選挙に関心を持つためには、候補者がどんな人で、どんな政策を持っているかをきちんと伝えることが重要であり、そうした情報が少ないと選挙に行く関心も薄くなるのは当然である。では、テレビ各局はなぜ討論会を開催しそれをテレビで生中継しないのだろうか。新聞社は紙上討論会を行い、その評価をしないのだろうか。本当に選挙に行ってほしいと思っているのなら、選挙民の関心を高めることができる方法をマスコミは持っているはずなのだが。

 レベルは違うが、アメリカの大統領選ではテレビ討論が選挙結果に大きな影響を与えるとされる。テレビ討論で、候補者の人柄が見え、アメリカという国が抱えている課題に対して候補者がどのような考えを持っているか、有権者である国民が直接知ることができるのである。こうした良い事例があるのに、なぜ参考にしないのだろうか、国政選挙と違いほぼ日程が決まっているのだから開催するのは難しいことではないはずだが、不思議でしょうがないのである。

 

■投票率50%未満の選挙は無効に

 先にも述べたが、鹿児島市長選では半分以上の人が投票に行っていない。半分以上の人が投票に行かない選挙が有効だといっていいのだろうか。鹿児島市長選は、市の執行部と職員サイドがタッグを組んで市長候補を擁立しており、安定した組織票があり投票率が上がらないほど勝つ確率が高いので、投票率が低いことは気にもとめていないのだろう。

 しかし、企業の意思決定では、株主総会であろうと取締役会であろうと、過半数の出席が会の成立の絶対条件である。行政においても、議会や委員会、各種審議会なども、メンバーの出席が過半数であることが会の成立要件になっているのが大半である。にもかかわらず、行政の長を選ぶ選挙で過半数の人が参加しないのに、その結果を認めなければならないのは本質的におかしいのではないだろうか。

 公職選挙法には投票率に関する規定はない。しかし、少なくとも「過半数の人が投票しない選挙は無効」といったように、公職選挙法を変えるくらいの抜本的な改革を行わないと、組織票に支えられた候補者が多い地方選挙が活性化することはなく、ますます投票率は下がる一方になることは容易に想像できるのである。

 

上原 智之(ウエハラトモユキ)

上原 智之(ウエハラトモユキ)

昭和62年3月、早稲田大学法学部卒業。同年4月、山一證券株式会社に入社。平成2年3月同社を退社し、平成3年5月、株式会社鹿児島総合研究所(当時はMBC総合研究所)に入社。平成12年から政策研究部長として、同社の政策立案、調査研究・コンサルティング業務に従事。平成17年3月に鹿児島総合研究所を退社し、同年5月有限会社リサーチ&コンサルティング鹿児島を設立。
※平成27年1月6日、急逝いたしました。

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