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時論・創論 自治

県民の税金が外郭団体に消えている!?(その1)

2014.10.8
執筆者:下鶴 隆央(シモヅルタカオ)

 

■鴨池ニュータウン駐車場 ~外郭団体の言いなりで、年8千万円が消えている?~

 鹿児島県庁のすぐ近く、垂水フェリーターミナルの目の前に、約1200台を収容する「鴨池ニュータウン駐車場」があります。月極・時間貸の両方で使われているこの駐車場、看板には「管理:鹿児島県住宅供給公社」とあります。ここが県有地、すなわち鹿児島県民の財産であることはあまり知られていません。県が「競争なし」で外郭団体の県住宅公社に貸しているのです。

 実はこの駐車場、毎年1億2千万円以上の収入があります。それに対し、管理する県住宅公社は県に4千万円しか払っていません。こんなに儲かる駐車場ですから、入札にかけて「一番高くで借りてくれる会社に貸すよ」とすれば、もっと高くで借りてくれる会社はいるはずです。

 それではなぜ儲けの1/3、4千万円で貸しているかと言うと、県は「県住宅公社が管理に8千万円かかっていると言っているから、それを信じている」とのこと。しかし「競争なしで自分の会社が借りられる」「管理費は言い値で認めてくれる」となれば、経営努力はせずに「これだけ管理費がかかりますから、賃貸料は安くしてね」と言う方向になるのは目に見えています。

 

■県議会・県民にバレないように、正面から出さずに後ろに隠す「迂回補助金」

 私は議員に当選させて頂いた初年度の2011年9月、外郭団体の決算書をつぶさに調べていたところ、この問題に気づきました。県住宅公社は元々妙円寺や松陽台といった団地(宅地)を開発し販売するのが本業です。なのに何で駐車場経営?土地は誰のもの?宅地販売はバブル期の無責任開発のせいで大幅な累積赤字なのに、駐車場経営は大幅黒字、何でだろう?様々な疑問を解決すべく、担当課に要求し各種資料を取り寄せ、ヒアリングを行いました。

 その結果分かったことは、「赤字の県住宅公社を救うための『迂回補助金』だった」ということです。

 詳細に入る前に、まず県住宅供給公社の経営について見てみましょう。

 県住宅公社は宅地を開発し、持ち家が欲しい方々に販売する仕事をしてきました。なお根拠法である「地方住宅供給公社法」では第1条に「地方住宅供給公社は、住宅の不足の著しい地域において(中略)宅地を供給し・・・」とあり、あくまで「住宅不足の地域で宅地を供給すること」が仕事です。

 しかしバブル期に無計画な宅地開発を行った結果、分譲開始から30年経っても妙円寺団地は2割の宅地が、松陽台は10年経っても2/3の宅地が売れ残る結果になりました。宅地が売れなければ投下資本を回収できませんから、住宅供給公社は経営危機に陥ることになります。

 その結果、平成18年に鹿児島県は県住宅公社に対し公的支援を行うことになります。その内容は、「115億円の無利子融資、また市中金融機関から借りている74億円に損失補償(県住宅公社が返せなくなったら、県が肩代わりする)」というものです。驚くべきことは、この時に経営層が誰も責任を取っていないことです。給与や退職金の返還も一切行われていない中で、この無責任な救済が決まりました。

 さてこの救済で借金の金利負担を大幅に軽減した県住宅公社ですが、その後も毎年2億円~3億円の赤字を積み重ね、平成25年度末時点で累積赤字は26億円に上ります。すでに「115億円の無利子融資、また市中金融機関から借りている74億円に損失補償」を行っていますから、この累積赤字は、最後は税金で負担することになります。

 このような経営状況ですから、本社人件費をねん出するのにも苦労していることは想像に難くありません。

 さて、もし赤字でどうしようもなく、税金から補助金が欲しい、と言うなら県民の代表である県議会を通す必要があります。県民の税金の使い道は、県庁の役人が勝手に決めていいはずはありません。県民から選挙で選ばれた議員・議会がしっかりと県民の代表として「正しい税金の使い道かどうか」をチェックして、良いものは通し、悪いものは弾く。当然のことです。

 しかし、ここで県住宅公社は「どうやって議会に見えないように、ばれないように税金から補助金を取るか」と言う手に出ます。それがこの「鴨池ニュータウン駐車場」を不当に安くで借りる、と言う手です。

 真正面から「人件費が足りないから8千万円ちょうだい!」と言えば反発を受けるのは目に見えています。そこで「1億2千万円もうかる駐車場を4千万円で借りる」と言う手を使った訳です。県有地をいくらで貸すか、というのは膨大な量にのぼる予算書の中には奥の方へうずもれてしまうものであり、真正面から県民の代表である県議会に見せずに、なるべく隠そうとする姿勢が見て取れます。

 もちろん、このような姿勢は到底許すことができないものです。

 

■外郭団体は、駐車場に関係ない人件費をつけていた!

 県住宅公社は「駐車場は1億2千万円もうかるが、管理に8千万円かかる」ことを理由に「4千万円で借りている」わけです。それではこの管理費の内訳をみてみましょう。

 私がこの問題を初めて取り上げた平成23年当時で、県土木部長は以下答弁しています。

 「経費の内訳につきましては、当初の駐車場の造成工事に係る減価償却費を約七百万円、機械・施設の維持保守等の費用を約三千万円、公社職員の人件費を約三千万円、諸経費を約二千万円と見込んでおります。」(平成23年12月議会:私の一般質問に対する県土木部長答弁)

 実はここはシルバー人材センターの方々が実務を担当しており、その給与は「諸経費」に含まれています。問題は「公社職員の人件費を約三千万円」この部分です。公社職員の6人(総給与約4200万円)が仕事の7割をこの駐車場でやっていた、と言う主張ですが、どう考えても無理があります。そこで徹底的に追及した結果、県並びに公社は、翌年以降はこの「公社職員の人件費を約三千万円」と言う主張は取り下げることになります。

 

■本来は、「一般競争入札」が必要!

 県有地ですから、県民の財産です。少しでも県民のために、もし外部に貸すなら少しでも高くで借りてくれる人に貸して、そのお金で行政サービスや借金返済を行うべきものです。

 したがって、本来は「一般競争入札」にかける必要があります。しかし県は一貫して「県住宅公社に随意契約(競争なし)で貸す」姿勢を崩していません。

 

【「県民の税金が外郭団体に消えている!?(その2)」に続く】

下鶴 隆央(シモヅルタカオ)

下鶴 隆央(シモヅルタカオ)

1980年鹿児島市生まれ。2004年東京大学法学部卒業。コンサルティング会社勤務を経て、2011年鹿児島県議会議員初当選(鹿児島市・鹿児島郡区)。「若者が一番出ていく県」の現状を変え、医療、介護、福祉、教育など各分野に必要な財源を持続的に確保する「子どもにツケを回さない、責任ある政治」を目標に、「鹿児島に稼げる仕事をつくる」を第一に掲げ活動。県議会でも「IT・コンテンツ産業の振興」「ハラールへの取り組み」など「鹿児島に稼げる仕事をつくる」ための政策提言を行い、実際に県予算・施策にも反映されているもの多数。

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