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時論・創論 産業経済

竹産業の6次産業化を目指そう

2013.12.18
執筆者:萩原 誠(ハギワラマコト)

 

 地域資源を活用した新商品開発・加工技術開発・販路開拓が地方活性化の大きな課題になってきた。鹿児島の地域資源は竹、茶、シラスがビッグスリーだ。しかしその三大地域資源を活かしきれているかというと明らかにノーである。

鹿児島県の産業構造の弱点は、消費地から遠いこと、民間企業の力が弱いこと、縦割りでリスクをとらない行政が主導権を握っていること、輸出力が弱すぎること、研究開発を担う大学・研究機関のけん引力が弱いことだ。

竹林面積日本一でありながら、県域あげての展開がなされていない竹関連産業の6次産業化の可能性考えてみよう。鹿児島県のホームページから「鹿児島県竹産業振興会連合会」を覗いてみると、こう書いてある。

 「恵まれた竹資源の振興発展を図るために設立された団体です。年間を通じて、竹製品や竹炭、竹酢液やたけのこ等の消費拡大イベントの開催、技術研修会の開催、情報誌の発行などを行っています」

 これで何ができるというのだろうか?「消費拡大イベント」と書いてあるが、所詮、人口減少と高齢化が進む県内だけの活動だ。竹林県鹿児島の活性化を目指して、商品開発・市場開発・ブランド化・販路開拓などに取り組む産官学あげての体制はないに等しい。個々の零細企業や個人が細々と竹関連の家業に取り組んでいるのが実態だ。これでは「竹林日本一」の地域資源がもったいない。

 

竹林面積上位の府県(林野庁/平成19年)

順位

都道府県

竹林面積

鹿児島

16 千ha

大分

13

山口

12

福岡

12

熊本

11

島根

千葉

京都

岡山

 

 

■竹の6次産業化とクラスター化が必要条件

  竹産業の推進のためには6次産業化とそのためのクラスター(テーマごとのチーム)形成が必要条件である。6次産業化とは一次生産者と加工、流通、消費者を直結もしくはチーム化することによって付加価値化を図ることだ。鹿児島の竹産業の現状を考えると、開発テーマごとのチーム作りとその中核機能を誰が担うのかを決めることが焦眉の急である。

 

竹産業の6次産業化のイメージ  

一次

二次加工品

二次加工機

三次(用途)

流通

竹林保持間伐、筍

竹炭、竹酢液、
竹粉(パウダー)

炭化炉、微紛加工機、

消臭剤、飼料、肥料、生ごみ処理、ろ過材、土壌改良材、建材、
繊維製品

ホームセンター
コンビニ

 

 

■竹炭の放射性物質吸着力のレベルアップ

 2013年11月27日の読売新聞の「震災復興」のページに次のような記事が載った。

 「竹炭に放射性セシウムや放射性ヨウ素を強く吸着する性質があることを、中京大学(名古屋市)の研究チームが確認した。発表によると200ミリリットルのヨウ素推奨駅に0.5グラムの竹炭を入れた場合、一般的に使われている吸着材の鉱物ゼオライトと比較すると30分経過時点で、5倍以上を吸着したという。また10ミリリットルのセシウム水溶液を竹炭10グラムに通過させると、鉱物ゼオライトの74%の吸着率が認められたと言う」

 これはニュースでもなんでもない話である。竹炭に放射性物質の一部(とくにセシウム)を吸着する機能があることは、震災直後から明らかになっており鹿児島の一部の業者が東京のコンサルの要請で動いた経緯もある。            

 この秋、東北震災復興予算の他県での流用が批判されたが、いちき串木野市の水田のタニシ取りに流用されているシーンが全国放映されて驚いた。東北震災復興予算を使わせてもらうなら鹿児島の竹炭の放射性物質の吸着効果の研究開発・商品開発に取り組むべきだ。今からでも遅くない。ひと月ほど前に三陸沿岸K市の産業振興課長から実情を聞いた。国の復興予算は、3年間の期限はあるものの使え使え状態だと言う。しかし、使うテーマが見つからないのとそれを動かす人がいないのが実情。

 竹炭の放射性物質の吸着力をさらに高める技術開発を福島県内の伊達市とか飯館村とタイアップすれば、国の予算で鹿児島の竹の用途開発が進められる。シラスバルーンにも放射性物質の吸着効果があるという説もあるから、竹とシラスの相乗効果を研究すれば、鹿児島ならではの地域資源の活用になる。鹿児島の大学や研究機関にその力がなければ他県の大学と連携すればよい。竹の研究に力を入れている北九州市立大学もひとつの候補である。

  

■竹炭、竹パウダーの有望分野は養豚飼料

 鹿児島県内で完結するもっとも有望な竹市場は養豚用の飼料である。竹炭と焼酎粕を混合した養豚飼料の開発は鹿児島大学と県内企業の共同開発でスペックはほぼ確立している。あとは肉質への影響など、最終的な詰めが出来ていないのが現状だ。課題は研究開発費を誰が負担するか、どこが中核になって実用化までをプロデュースするかである。

 県内で限界があれば、他県との戦略的な連携が考えられる。千葉県市川市に京葉プラントエンジニアリングという会社がある。東大とタイアップして養豚飼料の開発に取り組んでいる。こちらは竹炭ではなく食品残渣と焼酎粕に特殊な微生物を使う。生育を早めることと、肉質の改良が狙いである。彼らはこの飼料が製品化されたあとの養豚県鹿児島への販売を計画している。鹿児島から見れば彼らと共同開発することで、竹炭や竹パウダーの用途拡大や首都圏の大学の知見の導入、資金負担の軽減につながる。もっと重要なことは彼らの地盤である埼玉県、群馬県、栃木県などの養豚業者への販路拡大が期待できるので、ウィンウィンの関係ができる。

 

■竹バイオマスの北九州市との連携

 山口県の秋吉台ほど有名ではないが、北九州市南区には平尾台というカルスト台地が広がっている。その一画に高級たけのこで有名な合馬(おうま)地区の竹林がある。

その関係で北九州市立大学は地元のNPOなどと連携した竹関係の開発に熱心だ。その北九州市立大学の国際環境学部にはバイオマス研究センターが設置されており、「竹材のバイオマス資源化の技術開発に取り組んでいる。具体的なテーマは以下のようなものだ。

   ○竹質バイオマスの中温ガス化、常温ガス化

   ○竹炭の高機能カーボンナノチューブ系炭素材料化

   ○竹質バイオマスの機能食品化

   ○竹炭および竹活性炭による水浄化

 平成19年に知覧町、川辺町、頴娃町が合併して「南九州市」になったのが縁で、南九州市は北九州市と交流都市関係にある。南九州市にも竹林は、もちろんある。両市の連携で、鹿児島の竹質バイオの研究を進めてはどうか。木質バイオの取り組みは全国的に行われているが、竹質バイオはなかなか進んでいない。竹林から竹を伐採してチップにするまでの初期工程にコストが掛かりすぎるのがひとつのネックである。ちなみに熊本では「竹炭油」をボイラー用燃料として生産する取り組みが進んでいると言う。どこまで進んでいるのか、進んでいないとしたら何が原因で進まなかったのか調べてみる必要がある。

 

■福岡の企業のライバルを育てよう

 竹関連の民間企業では福岡県糸島市の八起産業の展開が注目される。2010年から竹パウダーをインターネット販売している。また同社が開発した竹パウダー製造器を50万円程度で販売している。20万円とか30万円程度で買える竹パウダー製造機械を鹿児島で開発すればもっと売れるに違いない。ちなみに同社のホームページを見ると、鹿児島の竹関連企業がすでに手掛けている用途ばかりだ。

  ○土壌改良剤 ○漬け床 ○消臭剤 ○ペットの糞

 この中では「家庭用の栽培ゴンドラ装置で竹パウダーを利用しています」が注目だ。県内のある企業が竹パウダーを使って、魚やウニなどの生ごみから家庭用の肥料製造器の開発に取り組んでいる。鹿児島中央駅に再来年、東急ハンズが進出する。そのオープンにあわせて鹿児島の「竹」を中核素材にした「生活雑貨」を東急ハンズと共同開発して、鹿児島ブランドで全国展開を図ることを検討すべきではないか。

 

■民間主導で進めるしかない

 竹の子のブランド化も他県に遅れをとっている。南九州市の友好都市である北九州市は「合馬のたけのこ」が全国的に有名だ。京都西山のたけのこはもっと有名ブランドである。一部の高級品は収穫期には表層に鹿児島のシラスを撒くという。関東ではなんと言っても「千葉大多喜」が有名。東京都は、いまブームの「江戸伝統野菜」発掘の一貫で、「目黒のたけのこ」を売り出そうとしている。鹿児島の蒲生の早掘りたけのこは、超有名で高級料亭で消化されるが、それは一般の消費者が知ってるわけではない。ブランドとは業界内でのブランドではなく、一般消費者が、少々高くても買ってくれるのがブランドなのだ。

 もうひとつ、中越パルプ川内工場の竹100%の紙(竹紙)の拡販が課題である。今年イオン環境財団の環境賞を受賞した。年間2万トンほどを生産しているが、コストが高くて伸び悩んでいるという。鹿児島県民は、どの程度、知っているのか?県民あるいは県外の鹿県関係者、挙げて応援する体制ができているのだろうか。ふるさと納税と同じくらいの熱意で、中越竹紙を応援すべきである。

萩原 誠(ハギワラマコト)

萩原 誠(ハギワラマコト)

マーケティングアドバイザー(広報、マーケティング、リスクマネジメント)
本籍地は鹿児島県いちき串木野市。京大法学部卒。
帝人株式会社(マーケティング部長、広報部長)に勤務後、日本原子学会倫理委員、山形大学地域共同センター大田リエゾンアドバイザー、佐賀大学東京オフィス参与、静岡県東京事務所広報アドバイザー、東北経済産業局東北ものづくりコリドークラスターマネージャー、鹿屋体育大学広報戦略アドバイザーなどを歴任。2007年度は、南日本新聞の客員論説委員として鹿児島県に対する多くの提言を執筆。
現在は、経営倫理実践研究センター主任研究員として活躍する傍ら、日本経営倫理学会に所属。著書に「広報力が会社を救う」(毎日新聞社)、「会社を救う広報とは何か」(彩流社)、「地域と大学」(南方新社)がある。

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