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『うららかな5月の佳き日 「令和」初の寺山・牟礼岡ウォーク』2

2019.6.22
執筆者:宮島孝男

 山中から県道220号に出る。「大石兵六夢物語」(別バージョン)の看板があり、その先に大きな風車がいくつか見える。「牟礼岡ウインドファーム」だ。「コトッ、コトッ…」重厚な力強い音がする。風車の風ではないのだろうが、なんとなく心地よい。

 

2-①山中から県道220号に出るIMG_5637 しばらく単調なアスファルト道路を歩く。道路脇では、この春採られなかったコサンダケが青々と背を伸ばしている。

 11時、牟礼岡自然遊歩道へ入った。標高552.3mの山頂を目指す。アスファルトの切れた所から左折すると登山道に変わる。落葉と土を踏みしめながら、長い上りと短い下りを繰り返し、11時27分、山頂に到着した。

2-⑤登山道の長い坂IMG_5655

 

 アザミが山頂を囲むように咲き始めている。ややうっすらと霞がかかっているが、鹿児島市街地に加え八重山、三重岳、花尾山などの山々も望める。大雄山南泉院はあの辺りかと4月の郡山ウォークを振り返る。

2-➆山頂に到着八重山等山々を望めるIMG_5668

 東屋の奥には綱を纏った「巨巌」と神社があった。「牟礼岡大明神」(享保13年=1728年)、「馬頭観音」(貞享2年=1685年)、「巨巌」の3つを併せて「牧神塚」と呼ばれている。建立者は当時の有力な武将たちであったようだ。

2-⑨牧神塚IMG_5673

 いやはやこの巨巌は凄い。数千トンもあろうかという自然石で、上部に蓋様の笠石があり、馬鞍があると伝承され、昔から信仰の対象になっているらしい。石の質・型・座りの格好等からみて、人工的なものか、あるいは地殻変動期の火山噴出物か謎の部分が多いという。

 12時ちょうど、楽しみの昼食となる。おにぎりとカップチャンポンで英気を養い下山を始める。「ガサガサッ」と音がしたかと思うと、蝮(マムシは漢字表記にしたい)似の蛇が足元を横切った。一瞬ヒヤリとしたが、よく考えるとこういう山中に生息しているわけないか。

 下りは登りの半分もかからないほどあっという間だった。牟礼岡自然遊歩道口へ戻り、今度は寺山自然遊歩道を「寺山公園(展望台)」へ向けて歩く。樹木がうっそうとした森の中の自然遊歩道とはいえ立派な舗装道路が続く。だが、車は一台も通らない。日中で最も温度の高い時間帯になりつつあるが、木のトンネルが日陰となって涼をもたらしてくれる。

2-⑪寺山自然遊歩道IMG_5678

 そんな中、「不法投棄禁ず」の看板や木杭が永遠と続くのには閉口させられた。

 鹿児島市、警察、鹿児島大学教育学部(ここらも研修林のようだ)に混じって特に目立つのが「不法投棄撲滅記念植樹」(寺山公園緑ボランティア清掃作業)と記された白の木杭だ。平成18年から毎年行われているようで、それだけ不届き者が跡を絶たないということだろう。

 残念なことにその証拠を早速目撃した。見事な大型のヤツデを見つけ、そちらへ駆け寄ったところ、何とそこには洗濯機やバッテリーなどが散在しているではないか。本当に困ったものである。

2-⑭捨てられた洗濯機やバッテリーIMG_5680

 沿道では「ごみなし地蔵」や山神・地神・水神をあわせて祀った「三神塔」も見かけたが、地蔵、三神ともさぞお怒りのことだろう。そういえば先日、「神社ないのに山奥に小さな鳥居」のタイトルでテレビニュースが特集を組んでいた。どこだったかは忘れたが、「神様が見ているよ」不法投棄解決の秘策を紹介する内容であった。日本全国津々浦々、深刻な問題である。

 県道215号へ入り、「鹿児島大学地震火山地域防災センター付属南西諸島弧地震火山観測所」というとてもひと目では覚えられないような名称の研究施設を過ぎると寺山公園(標高426m)に到着した。これまた計った様に13時ちょうどである。

2-⑯寺山公園に到着IMG_5689

 展望台への入口付近に、「登攀する薩州吉野山~山頂天を祭りて心魂を濯う」

 岩崎行親作の漢詩『吉野寺山之賦』が掲げてあった。1927年1月行親が友人と登って作った漢詩であり、絶筆といわれている作品だそうだ。

2-⑰吉野寺山之賦IMG_5692

 岩崎行親は香川県出身の教育者で第七高等学校造士館初代館長を務めるなど、30年間に亘って本県の教育の基礎を確立した人物である。

 展望台へ向かう。正式名は大崎鼻展望台という(突き出た地形)。展望台に立った途端、私たちは思わず息を呑んだ。雄大な桜島と錦江湾の大パノラマが眼前にひろがっている。小船が青い海に白い線を引くように進んでいる。このような絶景は久しく目にしていない。「うわあ~、感動的だな。都会の人たちはもっと驚くだろうな」従兄もやや興奮気味だ。

2-⑲錦江湾の大パノラマIMG_5693

 霧島の「犬飼の滝」を見て、「滝は50間(約100m)も落ちて、この世の外かと思われるるほどのめずらしき所なり。…」と絶賛する手紙を姉乙女へ書き送ったかの坂本龍馬だが、この展望台に立ったら果たしてどんな表現をするだろうか。

 鹿児島市の「かごしま自然百選」にもなっているし、「桜島・錦江湾ジオパーク」のGEOSITE01でもある。「この海は巨大な『穴』だった」とのインパクトある説明がなされている。展望台の下には地形の関係か、国土地理院の三角点らしきものがあった。

 「寺山ふれあい公園」へ戻る。13時40頃に着き小休憩する。起点の上之原から市街地へ帰るバスの便が少ない上、タイミングもはずしたので、約50分かかるが吉野公園まで歩くことにする。いつものように帰路は気分まで重たくなってくる。黙々と歩く。上之原バス停からこの吉野公園まで今日の歩行記録は12.4kmであった。

2-⑳吉野公園バス停から寺山公園方面を望むIMG_5709

 15時5分発のバスで市街地へ。塩湯の効果で有名な鹿児島駅近くの「かごっま温泉」で今日一日の汗をゆったりと流す。島倉千代子『からたち日記』、石川さゆり『天城越え』、殿さまキングス『なみだの操』…懐かしい昭和の名曲が次々と流れてくる。まさしく入浴者の年齢に合わせている。つい鼻唄を歌っている自分がいる。浴場のたたずまいといい、ここでも私の好きな昭和が息づいている。

 早くビールも飲みたいが、今日はもうしばらく湯船につかっていよう。

宮島孝男

宮島孝男

1954年 鹿児島県生まれ。
1973年 鶴丸高校卒業、1979年、九州大学文学部卒業(社会学専攻)
 同年   MBC南日本放送入社。企画部長・マーケティング担当部長や鹿児島総合研究所の企画研究部長・地域政策部長等を歴任
2007年 鹿児島県議会議員(1期)
2013~2016年度 志學館大学非常勤講師
2019年 ㈱言論鹿児島 シニア・フェロー

これまで、県・市町村やJA・商工会等の各種プランを策定、南のふるさとづくりコーディネーター・アドバイザー、県・市町村の審議会・行政評価委員会等の委員、自治研修センター・鹿児島市生涯学習プラザ等の講師を務める。講演多数。
2011年から著書の出版、新聞・雑誌等への投稿・寄稿など本格的に執筆活動を行っている。
2019年から「鹿児島ウォッチャー」に論説、コラム、エッセイなど執筆を始める。

【著書】
・『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)
・『こげんする!鹿児島-鹿児島地域づくり実践編-』(南方新社)
・『どげんする?鹿児島-鹿児島地域づくり戦略論-』(南方新社)

【執筆歴】
・「月刊ずいひつ」(日本随筆家協会)
・「随筆かごしま」
※「月刊ずいひつ」と「随筆かごしま」は休刊中
・南日本新聞「時論」

【受賞歴】
「第24回随筆春秋コンクール」(2018年)奨励賞受賞

趣味は読む、書く、歩く、たまの登山

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