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コラム コト

『歩く幸せ 出会う喜び-「第23回龍馬ハネムーンウオークin霧島」物語-』2

2019.4.8
執筆者:宮島孝男

 横瀬から稼原への道は坂が多い、というかほとんど坂だ。確か数年前まではかなり急なアスファルトだけの坂であったが、参加者からの強い要望でコースが変わった。単調なアスファルトだけより山中の自然道も加わった今のコースが私は気に入っている。一部の人からは歩き応えがあったのでやはり前の坂がよかったとの声もあるそうだが。

 5km近く歩くと、稼原台地の手前に差し掛かる。霧島連山の眺望が素晴らしい地点だ。去る13日には、韓国と高千穂の北側がうっすら雪化粧したそうである。

桜

 第5回記念大会の時に、俳優で画家、本県出身の榎木孝明さんはここで霧島連山をスケチした。榎木さんとの思い出に浸りながら歩いていると、まもなく日本一の大茶樹のある第2チェックポイントに到着。もちろん、お茶農家のみなさんのおもてなしは、おいしいお茶とお茶でできたふくれ菓子だ。

茶畑

 目指す木佐貫邸がいよいよ目前に迫った。岡林さんからプレゼントされた庭先の黄色い旗が目印だ。手打ちそばの香りが匂ってくるようだ。木佐貫さんは旧牧園町役場に勤めていたが、今も地域のリーダー格だ。世話好きで何かと器用な人である。

 登山、草花、写真がおもな趣味だが、水仙、フリージア、花桃、センリョウマンリョウ、沈丁花、イワツツジなど早春を彩る花々が迎えてくれる。 

 玄関を上がり部屋に入ると、霧島大浪池のマンサクの写真など掲げてありさながらミニギャラリーのようだ。夫婦おそろいのバンダナもお似合いだ。

 近所の人たちや登山仲間でもうすっかり場は盛り上がっている。奥様が勤務していた京セラの友だちもにぎやかに談笑している。

 まずはビールで喉の渇きを癒す。そして、待ちに待った名物の手打ちそば。そばに花ならぬ味を添えるのが、これまた木佐貫さん特製の七味である。ゆずの香りもなんともいえない。今はレギュラーメンバーが多いが、以前は、木佐貫さんは品切れになるまで歩く人みんなにそばを振舞っていたのだ。

 そばだけではない、それこそおイモやふきのとうのてんぷらをはじめチラシ寿司などご馳走がテーブルに所狭しと並んでいる。これらに舌鼓を打ちながら、ブランド焼酎の走りである「伊佐美」や日本酒「千姫大吟醸」など岡林さんと呷る(今年は土佐の銘酒「司牡丹」はなかった)。

 美酒に酔いが回ると、岡林さんの土佐弁と私の薩摩弁の会話は異国人さながら。「生き延びていたら、マルチタレントだったのでは」などと龍馬に思いを馳せる。入れ替わり立ち代り、みんな写真撮りにも余念がない。

集合写真

 ここでやや話がわき道に逸れるが、龍馬とビールとの出会いについて。日本ビールから『龍馬1865』(龍馬の写真入り)というラベルの「ドイツ麦芽100%ノンアルコールビール」が販売されている。先日マルヤガーデンズで発見した。

 龍馬の写真の横に「長崎にて商社を創業し、グラバー氏との取引を始める。その交友からビールを譲り受け、初めてビールを飲んだ年が1865年といわれています」と記されている。約150年前にビールというものを口にした龍馬、果たしてどんな味がしたことだろう。

滝

 名残惜しいが木佐貫邸を後にし、次の第3チェックポイント和気神社へと向かう。犬飼の滝までの山路や川沿いを歩くコースはこれまた私のお気に入りだ。ほどなく犬飼の滝に到着。いつ眺めても壮観である。

 犬飼の滝は龍馬が姉乙女へ宛てた手紙で「滝は50間(約100m)も落ちて、この世の外かと思われるるほどのめずらしき所なり。…」と絶賛している。

 犬飼の滝から階段を上がると和気神社だ。和気清麻呂を祭った神社である。 もちろん、龍馬とお龍も訪れている。今年は亥年だが、白いイノシシの和気ちゃんも迎えてくれる。神社前の和気公園では、4月中旬から5月初旬には「藤まつり」が行われ、満開の藤を楽しめる。

鳥居神社

いのしし?

 私たちのウオークはここまで。ほぼ毎年13キロで終わりだ。和気神社から木佐貫夫人のご友人の車で塩浸温泉龍馬公園へ。龍馬が寺田屋事件での刀傷を癒しながら、妻おりょうと最も長く逗留した温泉である。現在は、龍馬やおりょうをテーマにしたハード・ソフトの整備が進み公園になっており、県外からも多くの客が訪れている。

龍馬資料館川沿い

 「いい湯だな。あ、はははん!」岡林さんと裸のつきあい。今年も健康で再会できたことを改めて喜び合う。

 湯船の窓側には「雨に打たれ、雪に凍えて、風に倒れてきた奴は、空が晴れちょるだけで涙が流れてくるぜよ」の龍馬の言葉が吊るされている。私のような人間の出来が柔な男には骨身に応える。

 龍馬とお龍の記念碑前で写真撮影し、昨年古希を迎えた岡林さんが「傘寿までは参加するぜよ」と誓うと固い握手を交わした。

 足のない私たちを空港まで送ってくれたのも龍馬公園の女性職員だった。岡林さんが頼むと、突然でもみんな断れない。

 空港に着くと、発車間際の鹿児島市内行きリムジンバスに何とか掛け乗った。車窓から国内線ビルの足湯横に目をやると、龍馬とお龍をかたどった砂像が見える。南さつま市で5月1日~26日に開催される「吹上浜砂の祭典」のPR用に制作、展示されたものだ。空港でも龍馬とお龍に見送られるとは、とてもハッピーな気分であった。

 岡林さんは、高知に帰るとすぐさま参加の思い出を綴り南日本新聞の「ひろば」に投稿する。これまで10数回掲載されてきた。2桁を超えると、立派な記録にもなる。「最近はネタ探しに困るんよ」と言いながら、今年も書く気まんまんの様子だ。

「霧島に 龍馬訪ねて十年に 出会いし友の数かず嬉し」

 10年連続参加を達成した2006(平成18)年の「ひろば」に載った岡林さんの短歌である。

 

 なお、今年の「第23回龍馬ハネムーンウオークin霧島」の参加者は、好天にも恵まれ「霧島温泉コース」1,470人、「犬飼・中津川コース」460人、「花はきりしま菜の花コース」1,430人、「隼人・天降川コース」860人の計4,220人で、20回記念大会の4,280人に迫る記録となった。遠くは北海道、宮城から、高知からは岡林さん以外に3人の参加があった。

宮島孝男

宮島孝男

1954年 鹿児島県生まれ。
1973年 鶴丸高校卒業、1979年、九州大学文学部卒業(社会学専攻)
 同年   MBC南日本放送入社。企画部長・マーケティング担当部長や鹿児島総合研究所の企画研究部長・地域政策部長等を歴任
2007年 鹿児島県議会議員(1期)
2013~2016年度 志學館大学非常勤講師
2019年 ㈱言論鹿児島 シニア・フェロー

これまで、県・市町村やJA・商工会等の各種プランを策定、南のふるさとづくりコーディネーター・アドバイザー、県・市町村の審議会・行政評価委員会等の委員、自治研修センター・鹿児島市生涯学習プラザ等の講師を務める。講演多数。
2011年から著書の出版、新聞・雑誌等への投稿・寄稿など本格的に執筆活動を行っている。
2019年から「鹿児島ウォッチャー」に論説、コラム、ルポ、随筆など執筆を始める。

【著書】
・『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)
・『こげんする!鹿児島-鹿児島地域づくり実践編-』(南方新社)
・『どげんする?鹿児島-鹿児島地域づくり戦略論-』(南方新社)
                                
2016年から南日本新聞「時論」等に投稿中
「第24回随筆春秋コンクール」(2018年)で奨励賞受賞

趣味は読む、書く、歩く、たまの登山

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