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『歩く幸せ 出会う喜び-「第23回龍馬ハネムーンウオークin霧島」物語-』1

2019.4.8
執筆者:宮島孝男

 宿泊先のホテルのエレベーターから、いつもの黄色い旗を持って「やーやー。夕べはほんま楽しうて焼酎を飲みすぎてしもうたわ!」とにぎやかな男が降りてきた。手には栗焼酎と土佐文旦を引っさげている。

 第1回大会から欠かさず参加している元高知市観光課長の岡林一彦さんだ。黄色い旗は、岡林さんが高知市交通安全課長時代に作成したもので龍馬のマスコットキャラクターがデザインされている。

 岡林さんは、出会った人々を、たちまちファンにしてしまうという不思議なキャラクターの持ち主。ひとなつっこくユーモラスな上になかなか義理堅いゆえ、多くの鹿児島の友だちが彼の来鹿を楽しみに待っているのだ。

 昨年は新燃岳の噴火によりあいにくの中止となったが、それでも岡林さんは龍馬のふるさと高知から西郷どんの地へやって来た。

 3月8日の南日本新聞「ひろば」に『いざ、ハネムーンウォークへ』の記事が載った。「昨年の無念さを吹き飛ばして、霧島の雄大な自然の中、龍馬とお龍さんの足音を追いかけましょう」と参加者や大会関係者にエールを送ったのだ。 

 今年から参加する従兄を紹介していると、迎えのNさんの車がホテル到着。スタート・ゴール地点であるみやまコンセール(霧島国際音楽ホール)へ向かう。

 かつて西駅一番街の一角に、その名も「維新茶屋龍馬」という居酒屋があった。店主が大の龍馬ファンで、毎年のポスターが天井まで貼られ龍馬グッズが所狭しと置かれていた。Nさんはそこの常連客であった。店主や当時の常連客らが、年1回この大会を楽しみに1泊2日で方々から集うのだ。

 ラジオからキャンディーズの『微笑がえし』が流れてくる。「スーちゃんは残念だったな」「ランちゃんは近々ソロデビューするよ。アルバムも出す。夫は水谷豊だったっけ」「ところで、ミキちゃんはどうしてるんだろうね?」ここでもまた昭和が弾んでいる。

 1時間20分程度でみやまコンセールに着くと、「龍馬ハネムーンウオーク」テーマ曲『Canvas』が聞こえてくる。霧島5人組バンド「BellTone」が作詞作曲、この度完成した。 

 開会式までは、霧島市長や市役所職員、「霧島の西郷どん」こと中堀清哲実行委員長など古くからの「龍馬ウォーク」関係者、古巣であるMBC南日本放送のOBや社員と「やあやあ、元気でしたか」などと声をかけ合っては毎年の再会を喜び合う。92歳の写真家・住吉重太郎氏さんも相変わらず元気で何よりだ。

 さつま町から参加の従兄夫婦とも久しぶりに会う。こちらは「霧島温泉コース」の10.5km、我々は「犬飼・中津川コース」の23.5kmである。

野外ステージ②

 野外音楽堂のステージで開会式(歓迎セレモニー)が始まった。

 中重真一霧島市長が「『霧島温泉コース』は、今回リニューアルされ、『丸尾滝』を見ることができるようになりました」などと挨拶している。どうりで「霧島温泉コース」は距離も手頃だしかなりの人気のようだ。

 9時半になった。「いっどー!」いよいよ出発だ。

 新婚カップルが仲よく手をつないで歩いている。開会式ではハネムーンウォークよろしくアツアツ新婚さんの紹介もあった。その前には記念撮影も。

 黄色のひよこのユニークなコスチュームのカップルが目立っている。ご主人のリュックからはマルックス(ミニチュアダックスフンドとマルチーズを交配させて誕生したミックス犬)のワンちゃんのかわいらしい顔がひょっこり。ふたりの歩みはひよこどころかもうニワトリだ。

歩く後ろ姿ゼッケン

 私の楽しみの1つは参加者のゼッケンに記された言葉を見ることだ。ほとんどが「完歩するぞ」「頑張るぞ」「楽しむぞ」だが、歩くうちに「世界平和と家族平和」「10キロまでは元気です(確かに)」「3世代で3コース目」とかユニークなものも目に付く。

歩く後ろ姿リュック

 「第2の故郷 新婚時代の地 中津川」のゼッケンの年配の方に思わず私は声をかけた。教師のT先生だった。この「ハネムーンウォーク」の地で奥様と結ばれたらしい。一緒に歩いていたのは奥様ならぬ教え子の男性であったが。教え子といえば、T先生は何と木佐貫孝さん(後述)のご長女の恩師でもあり、後で木佐貫邸で昼食を共にすることとなる。不思議な出会いもあるものだ。

 岡林さんは、ゼッケン(23回皆勤賞!と記入)や黄色い旗を見た参加者から「新聞の『ひろば』を読みましたよ」「高知に行ったことあります」などと話しかけられている。従兄は少し先を歩いている。私は会話に乏しくいささか寂しい。

 実はいつもの女性3人組がそれぞれ事情があり、今年はいないのである。沖縄からのAちゃん、福岡からのKちゃん、鹿児島からのAちゃんだ。学部や部活で一緒だった西南学院大学卒のトリオだ。

 同じく西南学院大学卒の作家に葉室麟がいる。北九州市小倉生まれのこの直木賞作家は、歴史の小さな部分を見つめ、歴史の表舞台に出ない人物に焦点を当て数々の名作を世に問うてきた。早世が惜しまれてならない。

 葉室麟はエッセイの中で、「元寇防塁が西南学院大学の敷地内に復元されている」「福岡藩には歴史に埋もれた勤皇の志士として、もうひとりの半平太とも言うべき、月形洗蔵がいた。龍馬は新しい時代の幕開けを告げる曙光として、洗蔵は夜陰を照らす月のように時代を駆け抜けたのではないだろうか」などと書き綴っている。彼女たちとの会話のネタにと準備していたのだが、思い叶わず少々残念であった。来年へお預けだ。

休憩所②

 長距離コースに参加するだけに健脚の人たちが多い。さすがにピッチが早い。約5.2kmを歩くと、1時間余りで第一チェックポイントの横瀬に到着した。 

 地域のおばちゃんたちが、いつものようにふかしイモ、だいこん・みのぼし・高菜の手づくり漬物にお茶、飴、黒砂糖でもてなしてくれる。「漬物、本当においしかったです。ご馳走様」と心から感謝しつつ第2チェックポイントの稼原台地へ向け再び歩き出す。

宮島孝男

宮島孝男

1954年 鹿児島県生まれ。
1973年 鶴丸高校卒業、1979年、九州大学文学部卒業(社会学専攻)
 同年   MBC南日本放送入社。企画部長・マーケティング担当部長や鹿児島総合研究所の企画研究部長・地域政策部長等を歴任
2007年 鹿児島県議会議員(1期)
2013~2016年度 志學館大学非常勤講師
2019年 ㈱言論鹿児島 シニア・フェロー

これまで、県・市町村やJA・商工会等の各種プランを策定、南のふるさとづくりコーディネーター・アドバイザー、県・市町村の審議会・行政評価委員会等の委員、自治研修センター・鹿児島市生涯学習プラザ等の講師を務める。講演多数。
2011年から著書の出版、新聞・雑誌等への投稿・寄稿など本格的に執筆活動を行っている。
2019年から「鹿児島ウォッチャー」に論説、コラム、ルポ、随筆など執筆を始める。

【著書】
・『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)
・『こげんする!鹿児島-鹿児島地域づくり実践編-』(南方新社)
・『どげんする?鹿児島-鹿児島地域づくり戦略論-』(南方新社)
                                
2016年から南日本新聞「時論」等に投稿中
「第24回随筆春秋コンクール」(2018年)で奨励賞受賞

趣味は読む、書く、歩く、たまの登山

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