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コラム

『昭和をあじわう-ある音楽番組に誘われて-』1

2019.3.3
執筆者:宮島孝男

 去年の春先だった。テレビのスイッチを入れると、ザ・ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」が流れ、画面にはとても懐かしい顔が映っている。遠山明男さんではないか。後で知ったが、KTS『プライムニュース』「木曜フォーカス」の1コーナー「名盤をあじわう」であった。

 「ニュースという固いネタが立て続く番組の中で、レコードがただただ延々と回る映像に乗せて、音楽をゆっくりゆっくり聴かせて、それに詳しい人が熱く熱く語る」(番組コンセプトより)、熱く熱く語っていたその人が遠山明男さんだった。今はFM鹿児島で音楽番組のパーソナリティを務めている。

 遠い昔、若かりし頃、私たちはMBCラジオで一時期一緒に働いていた。当時の思い出が走馬灯のように浮かぶ。会ってみたくなったが、その時はそのままで終わり、結局会うまでには至らなかった。

 新屋敷の公社ビルに「味とも」という食堂がある。常盤の自宅から歩いて、昭和の名残をとどめる西駅一番街(再開発で昭和が徐々に消え行くのは淋しい限りだ)を経由し、かれこれ10年、ひと月に2回ほど通っている。

 ビールを飲みながら週刊誌6誌をチェックする。店のコンポからは、ビートルズ、エンゲルベルト・フンパーディンク、トム・ジョーンズなどオールディーズが流れている。私にとってまさに至福の時だ。そのうち65歳前後の常連が集まってくる。ここにも昭和が息づいている。

 ある日のこと、ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」がかかった。私は「名盤をあじわう」と遠山明男さんを思い出し、その話をみんなにした。

 「遠山さんの『サンデープレゼントおはよう昭和音楽館』(以下、おはよう昭和音楽館)は、毎週欠かさず聴いています。なかなかいい番組ですよ」

 店主が教えてくれる。正直私は『おはよう昭和音楽館』を知らなかった(申し訳ありません)。「よし、今度こそ遠山さんに会いに行こう」と思った。

 実は私は、もっぱらラジオ人間、活字人間である。典型的なアナログ人間としては、このところアナログが見直されているのは誠にうれしい。

 私の家にはラジオが3台ある。書斎と2階の寝室に、もう1台はポータブルだ。ラジオのいちばんのメリットは、手を止めなくても聴き続けられることにある。音楽やトークを楽しむのは言うまでもないが、ほとんどいつでも、どこででも情報や発想のヒントが得られる。近ごろもの忘れが進んでいることもだが ラジオの横にはメモ帳とボールペンを置いている。

 会おうというのに、聴かないで訪ねるのは失礼だし、まず話にならない。2月10日(日)朝8時、今日は“ながら聴取”というわけにいかない。ラジオとしっかり向き合った。『おはよう昭和音楽館』の始まりだ。

 小鳥のさえずりとポール・モーリア・グランドオーケストラの『メロディ・フェア』に乗って、「楽しかった時代がある。苦しかった時期もある。そんなあの時を盛り上げ支えてくれた音楽たち。時代を彩ったヒット曲の数々を綴りノスタルジーをエネルギーに変える、それがこの『サンデープレゼントおはよう昭和音楽館』…」のナレーションが流れて来る。

 のっけからもうたまらない。『メロディ・フェア』は映画『小さな恋のメロディ』の主題歌。オリジナルはザ・ビージーズだが、『若葉のころ』や『イン・ザ・モーニング』といった曲も同時に蘇る。楽しかった!?学生時代、大口(現伊佐市)の映画館で観た。主演のマーク・レスターもトレイシー・ハイドも今は確か60歳くらいのはず、どうしてるだろうか。 

 いきなり曲がスタートした。井上陽水の声だが、なかなか曲名が浮かばない。最近よくあることだ。「父は今年二月で六十五 顔のシワはふえて ゆくばかり…」歌詞がしみじみ心奥に響いてくる。涙腺がゆるむ。半ば叫ぶようなメロディ、そうだ『人生が二度あれば』だ。たまたま私も今年9月で65歳、「人生が二度あれば」、つくづくそう思うこの頃だけに身に沁みる。

 エピソードを紹介しよう。

「『断絶』(1972年5月)をリリースした頃、陽水は当時ポリドールのディレクターで文学青年でもあった多賀英典さんに、『曲はいいけど、詞が弱い』『いいメロディにいい詞が乗ると素晴らしい歌になる』と教えられた。それから陽水はボブ・ディランやニール・ヤングの詞を研究して、どんどん磨きをかけていった」(濱口英樹『ヒットソングを創った男たち』より)

 陽水の聞かせる、うならせる歌詞の秘密はここにあったのだ。

 というわけで、この日は「祝デビュー50周年井上陽水特集」であった。デビュー当時、陽水がアンドレ・カンドレの芸名で『カンドレ・マンドレ』という自作の曲を歌っていたのはあまり知られていない。

 『人生が二度あれば』に引き続き、『傘がない』『夢の中へ』『心もよう』『闇夜の国から』と40年代のヒット曲が次々にかかった。次週17日は50年代のヒット曲を取り上げるという。5月19日の「50周年記念ライブツアー鹿児島公演」のお知らせもあった。

 中盤は「さつまびと 維新三歌」のコーナー。音楽番組の中でなぜ明治維新に至る激動を紹介?当初はいささか違和感を覚えたが、もともと歴史好きだし、BGの『三歌』も効を奏しており楽しく聴かせてもらった。

 本格焼酎『あぁ幕末の薩摩武士』のプレゼントもある。なおこの焼酎、西郷隆盛曾孫・西郷隆夫さんの書文字による記念箱、ラベルとなっているとのこと。

 終わりは、「MY WAY MY MUSIC~わが道そしてわが音楽たち」、鹿児島県内に住む各界で活躍の皆さんに、その方の歩み、思い出の音楽などを聞くコーナーであった。

 1マンス(4回シリーズ)で今月のゲストは、株式会社エコメンテナンス代表取締役の上之段勝さん、谷山駅のホームに吉田拓郎の『夏休み』をチャイム音として流そうというプロジェクトを進めている人物である。話の後、流れた上之段さんの思い出の曲は、サザンオールスターズの『栞のテーマ』とその『夏休み』であった。

 エンディングとなった。『三歌』が流れている。後でわかったが、『三歌』の三とは「島津斉彬」「西郷隆盛」「薩長同盟」のこと。「この日本を今一度せんたくするという龍馬」の歌詞が耳に入った(この日は「薩長同盟」であった模様)。来る3月16日(土)は「龍馬ハネムーンウオークin霧島」、龍馬の登場するこの曲を高知県から毎年参加する元高知市観光課長・岡林一彦さんたちへ教えたいと思う。きっと喜ぶだろう。 

「今の番組だけど、日曜日の朝、実家に帰る時、私必ず聴いてるよ。ドライブが楽しくなる。やはり昭和っていいよね」

 書斎から出て来た私に愚妻がいうではないか。何とわが家にも思わぬファンがいたのである。びっくり。

宮島孝男

宮島孝男

1954年 鹿児島県生まれ。
1973年 鶴丸高校卒業、1979年、九州大学文学部卒業(社会学専攻)
 同年   MBC南日本放送入社。企画部長・マーケティング担当部長や鹿児島総合研究所の企画研究部長・地域政策部長等を歴任
2007年 鹿児島県議会議員(1期)
2013~2016年度 志學館大学非常勤講師
2019年 ㈱言論鹿児島 シニア・フェロー

これまで、県・市町村やJA・商工会等の各種プランを策定、南のふるさとづくりコーディネーター・アドバイザー、県・市町村の審議会・行政評価委員会等の委員、自治研修センター・鹿児島市生涯学習プラザ等の講師を務める。講演多数。
2011年から著書の出版、新聞・雑誌等への投稿・寄稿など本格的に執筆活動を行っている。
2019年から「鹿児島ウォッチャー」に論説、コラム、エッセイなど執筆を始める。

【著書】
・『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)
・『こげんする!鹿児島-鹿児島地域づくり実践編-』(南方新社)
・『どげんする?鹿児島-鹿児島地域づくり戦略論-』(南方新社)

【執筆歴】
・「月刊ずいひつ」(日本随筆家協会)
・「随筆かごしま」
※「月刊ずいひつ」と「随筆かごしま」は休刊中
・南日本新聞「時論」

【受賞歴】
「第24回随筆春秋コンクール」(2018年)奨励賞受賞

趣味は読む、書く、歩く、たまの登山

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