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時論・創論

『年始の新聞を読んで』3

2019.1.21
執筆者:宮島孝男

 このシリーズの締めは地元鹿児島についてである。今年実施される春の統一選と夏の参院選から入りたい。鹿児島の前に、まず元日各紙の見出し等で全国の情勢や動向など概観してみよう。

読売…『参院選208人立候補予定』『改憲勢力2/3維持焦点』『「亥年選挙」自民の鬼門』『統一選973首長・議員選』『「統一率」最低27.21%見通し』、『2019年参院選立候補予定者 選挙区74 比例改選50』(解説)

朝日…『3分の2焦点』『憲法改正発議めぐり攻防』『定数6増 比例に優先当選枠』、『自民党の獲得議席と1人区の勝敗』(2001~2016年の推移) 

毎日…『亥年選挙 命運かけ』『与党 「衆参同日選」論も』『野党 立憲、国民 体制作り』、『維新、大阪知事・市長出直し選挙へ』『都構想の是非 再び』、『減税は土俵際』(河村たかし名古屋市長率いる地域政党「減税日本」のこと)、北海道・神奈川・福井・福岡の4知事選について解説も

日経…『参院選211人出馬へ』『野党、統一候補めざす』、『勝負の「亥年」政治動く』『統一選と参院選重なる1年』『与党警戒、各党も準備』『統一地方選で知事選10道県 北海道や福井』、『改憲勢力3分の2焦点』『投票7月21日有力■衆参同日選観測も』『改正公選法で改選定数3増 比例は「特定枠」導入』『1人区の勝敗カギ 勝つ政党、入れ替わり目立つ』、『参院選 野党まとまるか』『本格共闘に温度差』『1人区は一本化へ調整も 複数区・比例で異論』『首相は支持安定 リスクは景気動向』『投票率高める論争を』(特集「2019ニュース羅針盤」)

〔最も多く紙面を割いたのが日経であったのにはいささか驚いた。日経は経済紙であるが、最近は政治・社会・文化・スポーツ面でも結構読ませる総合紙に近づいている。かつ日経の読者は企業の管理職をはじめビジネスパーソン、富裕層、保守層とされることからビジネスに大きな影響を及ぼしかねない本年の政治・選挙の行方にウエイトを置いたのだろう〕

産経…『夏の参院選 210人出馬準備』『改憲勢力、発議へ86議席』 

 

 次に地元鹿児島は?元日の南日本新聞から見出しとリードの概要を記す。

参院選:『自民 県議選との連動が鍵』『野党 統一候補の調整難航』「自民が6期目を目指す現職尾辻秀久氏(78)を公認。対する野党からは、共産県議の松崎真琴氏(60)と国民民主の行政書士合原千尋氏(38)のいずれも女性新人が名乗りを上げる。候補一本化に向けた野党共闘の協議は緒に就いたばかりだ」、『選挙区・比例211人準備 1人区の与野党対決焦点 共同通信調査』

県議選(展望):『無投票増える公算』『鹿児島市郡区7党擁立へ』『3月29日告示 4月7日投開票』「定数51の21選挙区に、現職45人、元職1人、新人14人の計60人が立候補を表明している。他にも擁立に向けた動きはあるものの、前回の6選挙区だった無投票が増える可能性がある。県内にある全7政党が候補を立てる鹿児島市郡区(定数17)は、夏の参院選の試金石となりそうだ」

2019年市町村長・議員選(展望):『首長9、議員10市町村』『4月統一選は8自治体』「皮切りとなる1月13日告示の垂水市長選は3人が立候補を表明し、激戦の様相。今年は統一地方選の年にあたり、中種子、南種子の2町長選と、8市町村議選(阿久根、垂水、枕崎、大崎、東串良、中種子、南種子、三島)が4月21日に投開票される。南種子町長選は5人が名乗りを上げ、混戦模様だ」

 

 参院選に関して巷では、与党・安部政権に対して「あんまいじゃ。えつをやかんといかん(灸を据えないといけない)」との声も上がり始めた。

 県議など地方議員の選挙に関しては、昨年6月18日の南日本新聞「時論」で『変われるか地方議会 問われる見識と実行力』と題し私は次のように述べている。「今まさに地方議会・議員の見識、実行力が問われているが、地方議員の選挙で、どれだけの人が議員の政治活動の中身を知って投票しているだろうか。実際の選挙は圧倒的に義理と人情で決まっている。来春の選挙まで、議員の働きぶり、仕事ぶりをチェックして欲しい。議会傍聴にもぜひ足を運んで欲しいと思う」読者の皆さん、そうしていますか?

 一県民として経験者として「いかがなものか」と思わざるを得ない、何をしているのかわからない、物足りない県議や市町村議員がいることも確かだ。そのような議員に我々は厳しい視線を注いでいるだろうか。県議選については、タイミングをみて後日追って論述したい。

 拙著のPRで恐縮だが、2016年3月、私は『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)を出版した。県議会(議員)の基礎知識、課題やあるべき姿など多岐に亘って論述している。衆議院議員(元県議会議長)金子万寿夫氏のインタビューも収録してある。今でも内容は全く色褪せていない。これまで1300人ぐらいの皆さんに読んでいただいた。ご一読をお薦めする。

 

 ところで私は2の末尾で、「我々国民は心眼と高い見識を持って投票に臨まねばならない」と力説した。健全な民主主義は、それを支える国民にかかっている。有権者はもっと成熟しなければならないのである。そして、日本の民主主義を守るためにも、18歳以上の有権者は、政治を「自分コト」として自分の1票に真剣に向き合うべきだ。

 「国民はそのレベル以上の政治家を持てない」「政治屋は次の選挙を、政治家は明日の国、次の世代を考える」、かような言葉も噛みしめてほしい。

 橋本五郎氏が小泉進次郎氏との新春対談(元日の読売新聞)で「政治家が劣化してきている」と指摘し、政治家に必要な要素として「政治的センス」「リアリズム(現実主義)」に加え芸術を解す心「豊かな精神性」を挙げている。「ふくよかな教養」「寛容」「人間に対するいとおしみ」といった言葉も。大いに参考にしたいものだ。

 

 さて、1月3日の南日本新聞の社説(「県内展望」)である。

 『飛躍へ上昇気流つかめ』の見出しのもと、「将来の街の顔続々 鹿児島市では大規模な再開発プロジェクトが相次ぐ。今年は一部姿を現すものもありそうだ。…こうした施設の整備は地元住民の利用とともに、内外の観光客を呼び込むことによる地域活性化の期待もある。新しくなる街全体の姿をイメージするとともに、人口減少社会にあって効率的な運用や長期的な採算性など十分な検討が欠かせない」と主張している。

 ハードは優秀だが、その箱を有効活用するソフト力は情けないほどお粗末なのは今も昔も変わらないと私は考える。戦後70年余り、日本が結局一度も克服できなかった大テーマとまで言い切る評論家もいる。

 そこで再開発プロジェクト全体については専門家に譲るとして、私は県が中央駅西口地区に整備を予定している新総合体育館(コンサートにも使用できるアリーナ型施設)についてのみ簡単に触れたい。

 中途半端な規模・コート面配置(肝心なスポーツ関係者へのヒアリングが後回しになったと聞く。ハード面も心配)、コスト高、期待薄の経済効果、そして各方面から声高に言われる渋滞…課題山積である。私は常盤町の住人であり、常盤トンネルから中央駅西口までの渋滞は自らよく経験もし目撃もしているので、よく分かる。熟議、熟慮を心よりお願いしたい。

 続いては三反園知事である。元日の南日本新聞「かごしま2019年を語る」で『輸出拡大、訪日客に注力』を主唱していた。小泉進次郎氏が、先に述べた橋本五郎氏との新春対談で「『一番大事だから第一次産業』というのが私の時論。日本の食は世界で勝負できる。例えば、冷凍・冷蔵の輸送網『コールドチェーン』を世界中に敷けば、『すべての“食”は日本に通ず』という世界が実現できる。安全な食を求めて世界から引き合いがくるはず」の述べているが、農業県鹿児島にとって心強い限り、元気の出る話だ。

 社説の後段では「大河効果を持続的に 昨年の明治150年と『西郷どん』ブームで鹿児島県に追い風が吹いた。その風をさらに上昇気流に乗せ、次の飛躍につなげたい」との主張があった。

 そこで、本県への追い風を上昇気流に乗せ、次の飛躍につなげるためトップリーダーである三反園知事へ率直に申し上げたい。私が見聞きしたことだ。

 県民への人当たりはソフト、自己PRやパフォーマンスはうまいが、説明不足、丁寧さを欠く、記者会見を増やしもっと自分の言葉で語るべき、マニフェストだけでなく他事業にも注力を、政策形成能力に磨きを、優秀な信頼できるブレーンを(東京のコンサルとの接触はあるようだが)、職員のモチベーションを高め上手に使いこなすべき。いかがでしょう。傾聴に値すると思われますが。

 終わりに、昨年経済学者の暉峻淑子氏が、個人の成長過程で、地域で、社会で、国家間で…あらゆる局面で、今いかに「対話」が喪われているかとして、『対話する社会へ』(岩波新書)という警世の書を出した。「鹿児島ウォッチャー」も「対話する社会」のツールとなれるようその役割使命を果たしていきたい。

宮島孝男

宮島孝男

1954年 鹿児島県生まれ。
1973年 鶴丸高校卒業、1979年、九州大学文学部卒業(社会学専攻)
 同年   MBC南日本放送入社。企画部長・マーケティング担当部長や鹿児島総合研究所の企画研究部長・地域政策部長等を歴任
2007年 鹿児島県議会議員(1期)
2013~2016年度 志學館大学非常勤講師
2019年 ㈱言論鹿児島 シニアフェロー・記者

これまで、県・市町村やJA・商工会等の各種プランを策定、南のふるさとづくりコーディネーター・アドバイザー、県・市町村の審議会・行政評価委員会等の委員、自治研修センター・鹿児島市生涯学習プラザ等の講師を務める。講演多数。
2011年から著書の出版、新聞・雑誌等への投稿・寄稿など本格的に執筆活動を行っている。
2019年から「鹿児島ウォッチャー」に論説、コラム、ルポ、随筆など執筆を始める。

【著書】
・『ウォッチ!県議会 県議って何だ!?』(南日本新聞開発センター)
・『こげんする!鹿児島-鹿児島地域づくり実践編-』(南方新社)
・『どげんする?鹿児島-鹿児島地域づくり戦略論-』(南方新社)
                                
2016年から南日本新聞「時論」等に投稿中
「第24回随筆春秋コンクール」(2018年)で奨励賞受賞

趣味は読む、書く、歩く、たまの登山

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