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時論・創論 産業経済

19年目のゴーンショックの根本問題とは

2019.1.21
執筆者:萩原 誠(ハギワラマコト)

 19年前のゴーンショックとは何だったのか!1兆数千億円の負債を抱えて倒産の瀬戸際まで追い込まれていた日産自動車が、6000億円の持参金付きでフランスの国有企業ルノーの傘下に入り倒産を免れた案件だった。ルノーから送り込まれたカルロスゴーンによって日産はV字回復を果たしたが、その手段は、主力工場の閉鎖、数万人の従業員解雇、鉄鋼メーカーとの談合取引廃止などで、ゴーンは「コストカッター」と半ば揶揄された。しかしグローバル資本主義からみれば当たり前の経営判断だった。この時のゴーンショックは日本的経営(終身雇用、年功序列、企業内組合)では、もう持続できないことが判明したショックだったのである。

 それから19年、そのプロ経営者カルロスゴーンは、今、日産を食い物にした守銭奴として世間の批判を浴びている。しかしグローバルスタンダードでは何も問題なく、日産の株主と、あえて言えば従業員が納得すればいい話である。しかし国民の大半が知らない司法取引(今年6月に成立)という手段で日産内部(上層部)から司法に提供された内部情報によってゴーンは逮捕されたのである。その後、判明した事実によれば、フランス政府の意向によってルノーの日産の支配体制をもっと堅固なものにしようと動き出したゴーンの排除に日産の経営陣が動き出したことがこの事件の本筋に違いない。ルノーに43%の株を握られ、毎年数百億円の配当をルノーに支払い、ルノーの利益の半分に貢献している状態がずっと続いてきた。フランス政府をバックに好き放題やるゴーンに退場してもらうには、ゴーンの悪事をバラスしか手はないと日産の経営トップが考えたとしても不思議はない。

 19年目の「ゴーンショック」で考えるべきは次の3つである。

〇日本の大企業のガバナンスが形骸化していること。

 法令違反か違反でないかは別として、ゴーンのこれだけの日産を食い物にしてきた公私混同の事実を、今回ゴーンを糾弾している西川広人現社長や取締役の志賀俊之前社長が全く知らなかったはずがない。今まで見て見ぬふりをしてきた責任は限りなく大きい。司法の判断が固まった時点で即辞任すべきである。

 

〇企業と官邸政治のゆがみが露見したこと。

 日産の本社のある横浜が選挙区のS実力官房長官。有価証券報告書に不記載のゴーンの巨額報酬を公表した日、日産の専務はS官房長官の下へ報告に行った。日産の株式を43%保有するフランスの准国有企業と日本政府の戦いが始まったとみることができる。

 

〇日本の検察(特捜部)が権力者の顔色をうかがう忖度官庁に成り下がっていることが証明されたこと。

 日本中を騒がせた森友学園への国有地の8億円もの安値売却問題。国の最高権力者の夫人の関与が露見しないために大量の公文書が改ざん削除された。国民の7割は今も納得していない。にもかかわらず検察(特捜部)は財務省関係者を嫌疑不十分で不起訴処分にした。日産の不祥事をシャカリキになって逮捕長期拘留するくらいなら、国の根幹に関わる公文書の改ざん隠ぺいがなぜ不起訴になるのか。あまりにも不公正で理不尽な検察(特捜部)の行動はいったいどこからきているのか。

萩原 誠(ハギワラマコト)

萩原 誠(ハギワラマコト)

マーケティングアドバイザー(広報、マーケティング、リスクマネジメント)
本籍地は鹿児島県いちき串木野市。京大法学部卒。
帝人株式会社(マーケティング部長、広報部長)に勤務後、日本原子学会倫理委員、山形大学地域共同センター大田リエゾンアドバイザー、佐賀大学東京オフィス参与、静岡県東京事務所広報アドバイザー、東北経済産業局東北ものづくりコリドークラスターマネージャー、鹿屋体育大学広報戦略アドバイザーなどを歴任。2007年度は、南日本新聞の客員論説委員として鹿児島県に対する多くの提言を執筆。
現在は、経営倫理実践研究センター主任研究員として活躍する傍ら、日本経営倫理学会に所属。著書に「広報力が会社を救う」(毎日新聞社)、「会社を救う広報とは何か」(彩流社)、「地域と大学」(南方新社)がある。

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