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横綱日馬富士暴行傷害事件で見えたこと

2017.12.20
執筆者:萩原 誠(ハギワラマコト)

 

 横綱日馬富士の暴行傷害事件発覚に端を発した相撲協会のドタバタ劇は「大相撲とはなにか」という課題を日本人に突き付けた事件である。江戸時代中期から約250年の歴史を刻んできた「大相撲」の何を変え、何を変えるべきでないのか、という課題だ。

 大相撲は「部屋」(現在45)と「親方(年寄)」という制度が土台になっている。その「部屋」を束ねた「日本相撲協会」を運営(経営)する組織が「理事会」であり、最高責任者が「理事長」だ。2007年に起こった新弟子暴行死問題から始まり、野球賭博問題、暴力団との付き合い、大麻吸引事件、横綱の暴行事件、長年燻る八百長疑惑など、構造的な不祥事が次々に発覚して本場所が中止になったのは2011年春場所だった。

 あれから6年、不祥事が起こるたびに「部屋」や「親方」をコントロールできない「理事長」が非難されてきた。今回のドタバタ劇の推移を見ると根本のところは何も改善されていないことが露になった。政治家や元NHK会長までいる「評議員会」、なぜか新聞社の元社長と検察官僚のOBが多く就任している「横綱審議委員会」にどんな権限と責任があるのかも明確でない。

 今回のドタバタ劇の核心は、22回優勝の元大横綱貴乃花親方と40回優勝の現役大横綱白鵬のどちらに軍配を上げるかである。それは「相撲道」と「横綱の品格」についての考えの違いである。少し誇張して言えば(貴乃花が主張する)「神事(+ガチンコ勝負)」をとるか、白鵬の「横綱であろうと勝ちにこだわる(+ショー)」をとるかの違いだ。

 それにしても九州場所の優勝インタビューで白鵬が「日馬富士にも貴ノ岩にも土俵に戻ってきて欲しい」「膿を出し切る」と発言したのには驚いた。理事長の発言ならいざ知らず、横綱にはありえない(品格以前の常識を欠く)発言だった。今場所の白鵬の立ち居振る舞いを総合的に勘案すると「一場所出場停止処分」があってもおかしくなかった。一方、理事でありながら上司の理事長(八角親方)の指示を完全無視する貴乃花親方に強権を発動できない理事長や理事会はいったい何なのか。

 いずれにしても横綱白鵬の最近の言動には良識ある国民は眉をひそめてきたに違いない。(ほぼすべての取り組みでの)張り手、そしてかちあげ、肘打ち、(勝負が決まった後の)ダメ押し等々。2015年九州場所ではねこ騙しまでやった。今年の九州場所での(立ち合い不成立を主張する)執拗な物言い。勝つために手段を選ばない(かに見える)この最強横綱は、「横綱相撲」という言葉があることを知っているのだろうか?

 白鵬よりは遥かに(日本文化の)相撲道を極めようとしてきた日馬富士だったが「暴行傷害沙汰」が明るみに出て、皮肉にも引退せざるを得なくなった。「礼儀と礼節を教えるために手をあげた」という彼の言葉に嘘はないと推察できる。しかしカラオケのリモコンで殴ってケガをさせてしまっては同情の余地はなかった。

 謙虚さすら感じる日馬富士に対して、わがもの顔の白鵬は、九州場所の優勝インタビューの最後に、白鵬が促した「万歳」に(テレビ画像を見る限り)ほぼ全員が唱和したのには本当に驚いた。その直前のインタビューの発言は明らかに横綱の則を越えていた。それに反発して万歳唱和しなかった観客は一人もいなかったのか?恐るべき付和雷同、盲従だった。

 

 

萩原 誠(ハギワラマコト)

萩原 誠(ハギワラマコト)

マーケティングアドバイザー(広報、マーケティング、リスクマネジメント)
本籍地は鹿児島県いちき串木野市。京大法学部卒。
帝人株式会社(マーケティング部長、広報部長)に勤務後、日本原子学会倫理委員、山形大学地域共同センター大田リエゾンアドバイザー、佐賀大学東京オフィス参与、静岡県東京事務所広報アドバイザー、東北経済産業局東北ものづくりコリドークラスターマネージャー、鹿屋体育大学広報戦略アドバイザーなどを歴任。2007年度は、南日本新聞の客員論説委員として鹿児島県に対する多くの提言を執筆。
現在は、経営倫理実践研究センター主任研究員として活躍する傍ら、日本経営倫理学会に所属。著書に「広報力が会社を救う」(毎日新聞社)、「会社を救う広報とは何か」(彩流社)、「地域と大学」(南方新社)がある。

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