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鹿児島ユナイテッドFC(J3)で“鹿児島創生”を!

2017.4.13
執筆者:萩原 誠(ハギワラマコト)

 

 子どもからお年寄りまで、鹿児島県民に夢と元気と誇りを与える唯一最高の手段が鹿児島ユナイテッドFCの活躍である。去年J3に昇格して5位と健闘した鹿児島ユナイテッドFCの2017年度の開幕戦は3月11日(土)鴨池陸上競技場で開幕された。好天に恵まれJ3となってから過去最高の5039人が集まり、藤枝MYFCに5-0で完勝、最高のスタートを切った。現在JリーグにランクされるチームはJ1(18)、J2(22)、J3(17)の合計57チームある。Jリーグはホームタウンを核とした「地域密着」がコンセプトだ。だからJリーグの戦いは地域や都市の戦いでもある。

 Jリーグのチームが地域に与える影響力(効果)は非常に大きい。

  • 地域と県民の一体感(特に子供たちや若者に夢と希望と誇りを与えること) 
  • 地方創生の有力な手段(郷土愛と郷土への誇りの再生、地域のネットワーク(絆)の創出)
  • 経済波及効果(相手チームサポーターの来県、入場者の関連消費、スポンサーのPR効果)

 さらに注目すべきは2017年シーズンからイギリス資本のDAZN(ダ・ゾーン)がJリーグのJ1、J2、J3の全試合をインターネット配信することだ。いつでもどこででもスマホ等で鹿児島ユナイテッドFCの試合が見られる。全国への拡販を図る県内企業にとってスポンサーになるメリットが高まる。

 

鹿児島ユナイテッドFCの徳重剛代表に聞いた。

 

―Jのチームができるまで鹿児島にはFC鹿児島とヴォルカ鹿児島の二つのチームがあり

ユナイテッドFC徳重代表

ユナイテッドFC徳重代表

ました

「2014年シーズンに両チームの統合が実現して「鹿児島ユナイテッドFC」が誕生しました。2015年11月にJリーグへの加盟が認められて2016年にJ3に昇格しました」

 

―初年度の戦績は

「一時は首位に立ったのですが、最終的には5位に終わりました。今シーズンは2位以内になれば成績要件ではJ2に昇格できます。何としても2位以内に入りたいと思っています」 

 

―J3に昇格する前のJFL時代は「鹿児島を元気にする」という目標を掲げていましたが

「変わりありません。鹿児島市や鹿児島県民が鹿児島ユナイテッドFCの活動を通じて、元気になってもらうことが我々の使命だと思っています」

 

―そのための地域密着活動は

「地域のお祭りやイベントに参加する、県内各地でサッカースクールを開催する、そのほか学校訪問や病院慰問等などの活動です。2016年は210回を越えました(2015年は150回)。2017年は250回を目指しています」

 

―現在のチームの課題は

「スポンサーの拡大、スタジアムや練習場などの施設整備、ファンクラブ会員数の増加(2016シーズン1,121人)、地域密着活動の拡充が、主な課題です」

 

―地方都市をホームタウンしているJのチームでお手本になるチームはどこですか?

「J1ではヴァンフォーレ甲府、J2では松本山雅FCです」

 

―何がお手本になるのですか?

「ヴァンフォーレ甲府は親会社がないクラブですが、ずっとJ1で戦っています。松本山雅FCも親会社が無い地方のクラブなのに常時J1やJ2の上位を維持するチームにまで育っています。ホームゲームの観客数やスポンサー数が多く、親会社が無いことを地域との密着を深めることにより(『スポンサーの数』で)補っていることです」

 

―松本山雅はなぜ、それを実現できているのですか

「もちろん長年に渡ってクラブが地域との密着を丁寧に重ねていることが最大の要因ですが、それ以外に特徴的なのは、松本の場合は同じ県内にAC長野パルセイロがあります。長野県は明治の廃藩置県の当初は筑摩県(松本市)と長野藩(長野市)と分かれており、いまも県内の地域同士の対抗意識が根っこにあるのではないかと思います。松本人と長野人の郷土愛のぶつかり合いが盛り上りの一因かも知れません」

 

―松本山雅FCのホームタウンは6つもあります

「自治体も出資しており資本金は1億9千万円で、売上高は21億5千万もあります。

しかも2016年の平均観客数は1万3千人を越えています。鹿児島ユナイテッドFCも、松本山雅のような好循環のチーム運営構造を実現させたいと願っています」

 

―好循環の構造とは

「観客の増加=スポンサーの増加=収入の増加=戦力強化=勝利数の増加という構造です」

※ヴァンフォーレン甲府と松本山雅FCの概要

ユナイテッド表1

 

―九州のJのチームの現状は

「J1は鳥栖です。J1は観客動員数も図抜けていて毎試合1万人を越えています。スポンサーも付きやすく、対戦相手のサポーターが沢山応援に来ますので地元にとっての経済効果も大きくなります。J2は福岡と熊本と長崎と大分、J3は鹿児島のほか、北九州、琉球があります。J2の2チームは5000人台の観客、J3の大分はかってJ1にいたことがありサポーターが定着しており、7000人台の観客を確保しています」
 

―鹿児島ユナイテッッドFCはまず、九州の中での存在感を高めるべきでは

「いまはJ1の上位を維持しているサガン鳥栖も、一時は倒産の危機に追い込まれたことがあります。JR鳥栖駅のすぐそばにスタジアムがあるメリットも大きいのです。佐賀県は人口も少なく(83万人)、ホームタウン鳥栖市の人口も圧倒的に少ない(7万人)のですが、チームがJ1の中位を維持しているのは鳥栖市周辺(地元)のサポーターの長年の熱意が基盤になっています」

 

―同じ九州のチームには負けないぞ!という市民・県民の対抗意識が必要では

「観客数は郷土愛の象徴です。そのためには我々チーム関係者の努力がもっともっと必要です。そして我々のチームの思いを1人でも多くの鹿児島市民や鹿児島県民に知ってもらうことが次の段階への飛躍につながると認識しています」

 

※九州のJリーグチーム 2016年シーズン

ユナイテッド表2
※観客数はチームの財政基盤に直接影響する。九州の8つのJチームの中では、J1の2チームが毎試合12000人の観客があり図抜けている。J3の4チームの中で鹿児島ユナイテッドFCは大分に次ぐがホームタウンの人口、サッカー県という背景から見て2017年は何としても5000人台の観客動員を確保することが県を挙げての目標である。現在のJリーガー選手の出身県は県の人口比では静岡県に次いで鹿児島県はNO2というデータもある。サッカー人材の流出圏でなく、人材流入県にするためにも鹿児島ユナイテッドFCをもっと強くするための県民あげてのサポートが欠かせない。

―2017年シーズンへ向けての課題と目標は

 「広告料収入の増大(2016シーズンは330社285百万円→350社300百万円)、チケット収入の拡大(28百万円→45百万円)ファンクラブ(1200人→1600人)の拡大を図り、J2でも戦える基盤造りです。J2に昇格するには総収入6億円以上が目標になります。その前提として平均観客数の増加が欠かせません。現在県立鴨池陸上競技場のメインスタジアムが工事中のため、今シーズンはバックスタンドの5400席しか使えません。

 今シーズンは常に満席状態の5000人を目指します。開幕試合は5039名と過去最高の入場者がありましたが、3月25日のホームゲーム第2戦は雨のせいもあったのですが2200名しか入らず、残り14試合のホームゲームで毎試合5000人の目標達成には相当な努力が必要だと改めて感じています」

 

 

【筆者からの提言】

 

(1)チームポスター掲出10000箇所とファンクラブ会員5000人を目指そう!

 観客動員数の増加はファンクラブ会員数に比例する。離島も含めて、2017年のチームポスターの県内掲出箇所、10000軒運動をボランティアの協力で実現させる。ポスターは1枚100円以上で購入してもらい、ポスター掲出箇所ではファンクラブ申し込みも受付ける。ちなみに筆者は鹿児島中央駅近くの行きつけの居酒屋3軒に3月からポスターを掲出してもらった。

 

(2)鹿児島ユナイテッドFCサポートする様々なネットワークを作ろう!

 鹿児島ユナイテッドFCのホームタウン鹿児島市は、南北600Kmの鹿児島県の中央に位置し、県内人口の三分の一が鹿児島市に集中する、さらに海と空と陸の県内交通網の中心である。さらに長い薩摩の国の歴史と文化の中心都市であることも間違いない。

 「鹿児島市は県の母なる都市として、他の自治体の市町村のお役に立つことを考えるべきだ。またこの考え方を押し進めるには、鹿児島県と鹿児島市のこよなき連携が望まれるし、民間も積極的に関与すべきだ」と「21世紀鹿児島への提言」(東眞人/鹿児島文庫75/春苑堂出版)に書かれている。 

 具体的には、自治体サッカーネットワーク、サッカー議員ネットワーク、ちびっこサッカークラブネットワーク、観光協会ネットワークなど、鹿児島ユナイテッドFCのホームタウンである鹿児島市の関係者と市民が音頭をとって、サッカー関連の県内ネットワークの重層化を図るべきだ。

 

(3)ふるさと納税の返礼品に鹿児島ユナイテッドFC関連グッズを採用しよう!

 徳之島の徳之島町は2017年からふるさと納税の返礼品に鹿児島ユナイテッドFCのグッズを取り上げている。1万円コースと2万円コースがある。徳之島町企画課ふるさと納税担当の堀貴久さんにその理由を聞いた。

 「本町は“スポーツアイランド徳之島”を掲げてスポーツチームの合宿誘致に力を入れていますので、鹿児島ユナイテッドFCを支援する住民の意識や推進体制は整っています。ふるさと納税の返礼品に鹿児島ユナイテッドFCのグッズを取り上げたのは離島を含む県内各地でサッカー教室を開くなど地域密着活動を積極的に行っていることに共感したからです。大きなスポンサー企業を持たない鹿児島ユナイテッドFCをひとつでも多くの県内自治体がふるさと納税の返礼品に取り上げていただき、当町を始めチームを支える自治体の住民に夢や希望を与えるチームへ飛躍して欲しいです」

萩原 誠(ハギワラマコト)

萩原 誠(ハギワラマコト)

マーケティングアドバイザー(広報、マーケティング、リスクマネジメント)
本籍地は鹿児島県いちき串木野市。京大法学部卒。
帝人株式会社(マーケティング部長、広報部長)に勤務後、日本原子学会倫理委員、山形大学地域共同センター大田リエゾンアドバイザー、佐賀大学東京オフィス参与、静岡県東京事務所広報アドバイザー、東北経済産業局東北ものづくりコリドークラスターマネージャー、鹿屋体育大学広報戦略アドバイザーなどを歴任。2007年度は、南日本新聞の客員論説委員として鹿児島県に対する多くの提言を執筆。
現在は、経営倫理実践研究センター主任研究員として活躍する傍ら、日本経営倫理学会に所属。著書に「広報力が会社を救う」(毎日新聞社)、「会社を救う広報とは何か」(彩流社)、「地域と大学」(南方新社)がある。

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