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一票の格差は、違憲か? ~政治は、地方を救え~

2017.2.14
執筆者:菅井 憲郎(スガイノリオ)

 国会議員の選挙のたびに、一票の格差が憲法違反かどうかが問われる。

 一人の代議士を選ぶのに、地方と比べて大都市では、3倍を超える違いがある。つまり、国会での投票に当たって、代議士一人が代表する有権者の数に違いがある。逆に言えば、国民の一票の価値に格差があることになり、このことが、違憲だというのである。

 

 でも、そうだろうか。このような主張には、二つの異論がある。

 その一つは、一票の格差を是正するための合区の仕方である。すなわち、政府や与党は、選挙区を見直し、県を越えて合区しようとしている。この方法によると、九州、山陰などの首都圏から離れた人口が少ない県同士が合区して一人の代議士を選ぶことになる。このやり方は、人々の生活圏域や行政区域を度外視しており、便宜主義のそしりを免れない。机上の数合わせによって選挙区を決めてしまえば、大都市と地方の代議士の数が偏ってしまい、大都市の声が一層強くなる。

 

 小泉改革以来、日本は、「勝ち組」と「負け組」に分けられ、「強い者が勝って当たり前。弱い者は強くなる努力をすべき」という価値観が支配するようになってしまった。

 地方だって、強くなりたくて努力しているのに、なれないために悩んでいるのである。だから、この言葉は、弱者切り捨てのように聞こえてくるのである。

 なるほど、民主主義の下では、意見が分かれた場合は、多数決で決めるというのが基本ルールである。しかし、このルールを金科玉条とすれば、多数が暴走する恐れが生じてしまう。

 多数が、いつも正しいとは限らない。戦前のナチスのように、真理を外してしまうと、多数派が少数派を犠牲にして、独善的に国政を操るようになってしまう。

 だから、民主主義には、多数決の原則と併せて、少数意見を尊重することによって、強いものが数を頼りに暴走することのないように、歯止めとしている。

 

 そもそも、国は、地方創生政策で地方への移住、定住化を促進することによって、経済の活性化を目指している。それならば、地方の声を国政に反映するためにも、政治判断として国会議員の定数を人口規模に「逆比例」させるという政治が必要ではないだろうか。

 

 大体、一人当りの選挙権に格差があるのが憲法違反というなら、地域によって国が定める最低賃金に格差があるのも、違憲ではないだろうか。なぜならば、地域によって働く人の価値に差をつけることになるからである。

 

 もう一つ、異論がある。それは、そもそも国会議員は、真に国民の声を反映していないということである。

 例えば、首相の選出。今の安倍首相だって、自民党の派閥の力関係で決まっているのであって、国民の声を反映してはいない。それなのに、首相自身は、「自分は国民を代表している」と言っている。

 また、法案の審議についても、絶対多数を占める与党は、国民の多数が反対しているにもかかわらず、自衛隊法や年金法を改正し、カジノ法などを成立させている。国民の意見と国政との間にネジレが生じている。

 

 国会議員の定数と有権者の数を比例させるというならば、選ばれた国会議員は、真に国民の声を代表しなければならない。議員は、ともすれば「代表民主主義」と言って、自分たちは、有権者から委任されているから、自分の意見が有権者を代表しているという。

 しかし、本当に国民の声を代表しているならば、有権者の意見を聞き、それを国会で反映すべきである。そして、それを担保するために、全ての国会での票決は、記名投票にして、有権者が選んだ議員が真に自分の意見を代表しているかどうかを見極めることができるようにすべきである。

 

菅井 憲郎(スガイノリオ)

菅井 憲郎(スガイノリオ)

慶応義塾大(経済)卒。
警察庁、外務省、兵庫県、茨城県に勤務後、鹿児島県庁で青少年育成、消費者保護、国際交流、高齢者福祉、職員研修、産業振興(商工業、林業、水産業)、ウォーターフロント開発等を担当。その後、鹿児島総合研究所専務取締役、鹿児島国際大学大学院教授、鹿児島県立短期大学講師等に勤務する傍ら、運輸事業(バス、船舶等)の経営にも携わる。
著書に「自治体の国際化政策」、「ムラからの国際交流」、「虹色の鹿児島を描く」など。政策研究・論文及び講演等多数。

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